生きる知恵

理香の親友の松岡恵美ちゃんから聞いた話。

実は、ある女の子が、ある事務所とトラブっていたのね。
まあ、ギャラとか仕事内容の事らしいんだけれど。
（割とよくある話です）

女の子はフリーランスで、どうしてもそこの事務所で仕事をする必要性はないの。
事務所の方は、彼女が結構有名なレースクイーンなので、
出来れば一緒にお仕事をやっていきたいんだけれど、といった感じ。

何があったのかはよくわかんない。
だって、その事務所は事務所の言い分があるし、
女の子には女の子の言い分があるし、
おまけにその二つは相当話が違うんだもの。

でも、別に真実はいいんだ。

メグは友達とその事務所さんの仲を取り持ってあげようと思ったみたい。

そこで、事務所さんには、
友達が激怒している事を伝えずに、
「彼女が理解されなくて悲しいって言っていました。
またなんかお仕事があったら連絡して上げてください」
と、言ったようです。

又、「そんなやくざな事務所なんてもう関わりたくない」と、
激怒している彼女の方には、
「連絡が来たら、他の仕事が決まっています、と言って断るように」
と、言っておいたそうです。

なぜそんな事をしたのか。

人って言うのは、責められれば責められる程、
自分の非を認めたくないのが普通です。

「激怒してる」と聞けば、
当然、彼女に対する心証は悪くなります。

狭い業界。
今後、彼女がお仕事をする上で、
クライアントさんや女の子達や関係者達に彼女の事を悪く言うかもしれません。

でも、もしも、彼女が「理解されなくて悲しんでいる」と聞いたら？
それに「また機会があったらお仕事ふってくださいと言ってる」と聞いたら？
「それは悪かったかな」とか、ちょっと考えるでしょ？

この話を聞いて、私は彼女の頭の良さに感動しました。

理香の何が悪いって、やっぱり馬鹿なところ。
直情的というか、よく言うとまっすぐなんだけれど、
悪く言えば、うまく立ち回れないところ。
こんな風にあたしは人の仲を取り持つ事が出来るだろうか？

要は、言葉の一つを考えてしゃべる事。
それだけで世界は大分違う。

（21th Sept.07)