純粋な善意

聖書の例えに、貧乏な人の１デナリオの寄付は、
金持ちの１００デナリオの寄付よりも多く寄付した、
というのがあります。

有り余るものから分けてもらう豊かな善意よりも、
ぎりぎりのところから絞りだすような一撃のほうが心にしみるのは
きっと、私だけじゃないはず。

「たいへんそうだね」という言葉は誰にでも言える。
そう、行きずりの人でも。

自分にゆとりがあるときの百の親切も千のご奉仕も、
ここぞのクリティカルヒットの足元にも及ばない。
本当に必要なときに必要な手助けをしてくれない人は、
所詮それまでの人なんだなぁとカテゴライズしてしまうのは当然。

問題は、自分が何をしたいかじゃない。
自分が何を欲されてるか。
シンプルに言えば「相手はどうしてもらったら嬉しいか」。

自己ピーアールをいくらされても困ってしまう。
どうでもいいときにしつこくつきまとわれても困る。
そんなことより、純粋に、「こうしてあげたらりかちゃんは喜ぶかな。」
「りかちゃんが困ってるみたいだから今回自分もつらいけれど助けてあげよう。」
そんな不言実行の「極めて純粋な善意」が欲しい。

お願いだから、「助けて」なんて言わせないで。
言ったら、その瞬間に私はあなたに貸しができちゃうから。
私が言ってから助けてもらっても、「言ったから助けてくれたんだ」って思ってしまう。
勿論口では「ありがとう」と言うけれど、
その「ありがとう」の言葉が発せられた瞬間、相殺されてしまう。

言葉に出す前にあなたから気が付いて助けてくれたとき以上の感激はないから。
まして、「お願いされたら動いてあげてもいいかな」なら、
正直、別に動いてくれなくていいから。

あたしそこまでおちぶれてない。
人の善意を乞わなければならないような立場なの？

純粋な善意が欲しい。
みかえりなんか求めないで。
あたしに要求なんかしないで。
そんなかっこわるい男嫌いよ。

（15th July.07)