得たものと失ったものと

二次元の私にしか語りかけられない貴方に、
三次元の私は戸惑うばかり。

たった５センチの隙間を、
どうして深く掘り下げてしまうんだろうね。
まるで迷路か、蟻の巣穴か。

ビッグバンもかくやと思える程に、
広大な虚無が広がって行く。

初動の遅さを声を大にして嘆こうと、
御託や反省の言葉を連ねようと、
曇った瞳には何も映していないのです。

そう。
いつも同じ。
いつでも同じ。
いつまでも同じ。

億万年の昔から倦まず繰り返されてきた、
寄せては返す波の様なルーティンワーク。

ねえ、プライドって、どこまで高くしたら、
自分自身の誇りを保っていられるんだろうね。

自己満足？
いいんじゃない？

人は他人の為に生きるにあらず。
所詮人なんて、自分という人生のステージに現れたエキストラ。
躊躇無く実践すればいい。

自分がほんとに欲しいものを見誤る事なんてあるんだろうか。
少なくとも、あたしは、ない。
どんなに夢中になった時でも、絶頂の瞬間ですら、
私の道は常に頭の中にあったから。
そうして今も。

分かった。
・・・と、そう口で言っているだけなんでしょ？
或いは分かったというつもりになっているだけなのかもしれないね。

夢見る夢子さんの想像の翼は、
いつも、果てしなく遠くを駆けていて、
たくさんの数字やアルファベットやあいうえおが
泥のように積もった野原に立つ私には遥か遠い。

そして私は知ったの。

私が我を忘れてのめり込む程、
何よりもプレシャスに思っていた
あの泥臭い、青臭い、熱っぽい、最良の時代は、
もう二度と戻ってこないんだろう。

結局はダイヤモンドなんかじゃなかった。
掘り出してみた原石は、空気に触れた途端に変質して
なんの変哲もない石ころになったの。

あたしが欲しかったものって、いったいなんだったんだろう。
少なくとも、こんなものじゃない。

いったい何を間違えちゃったんだろう。
でも、間違えたら、改めればいいこと。

少し休んでみようか。
また歩き出す為に。

世界に、私の欲しいものが、転がってないと証明できた訳ではないし、
一つ間違えたって、あたしには明日がある。
人生は短いかもしれないけれど、私にはきっと十分な長さがあるはずだ。

古い問題を解き明かすのに、使う時間はないかもしれないけれど。

（14th July.07)