新人

「新人を育てたいんだよね。」という人がいる。

気持ちは分からなくもない。
いわゆる「育てゲー」みたいなもので、
人にはきっと「何かを育てたい」という天然の欲求があるんだろう。
それがなかったら子孫繁栄もできないだろうしね〜。

産む欲求（性欲）。
それに、育てる欲求。
ここまであってはじめて人は育つだろうしね。

古くからは光源氏の時代にもあったよな。
パソコンの中なんかじゃない。
携帯ゲーム端末の中なんかじゃない。
生きている人間を育てる。
しかも綺麗で若くてカワイイ女の子を育てる。

なかなか良い響きですね。

しかしですねえ。

「理香ちゃんなら大丈夫。」
「新人を育てたいんだ。」
って言われちゃうととても複雑な気分になりますよね。

そりゃあ別にあたしは新人でもないよ。
もっと大御所っていうのも別にいないわけではないものの、
しかし、サイクルが短く、
本来的には１年しか寿命が全う出来ないこのレースクイーンギョウカイに於いては、
ぶっちゃけ十分立派に「大御所」だし。

しかし、どうしてそんなことを言われてしまうのでしょうね。
この人類が築き上げた社会。
人って言うのは持ちつ持たれつで共存していくモノ。
「成長したモノには手を貸しません」なんてやっていたら、
誰だって生き残るコトなんてできやしない。
手が必要なのは、新人だって、中堅だって、ベテランだって、
みんなみんな同じなのにね。

若木を育てるのに夢中になって実がなるようになった木を枯らすようなもの。

育てる楽しさ、それは理香も十分承知しているし、
今までも何十名も新人さんを育ててきているんだもの。

ただ、いいことばっかりでもないんだけれどね。

新人だから何も知らないのは勿論。
だから言うことを聞くかというと、それは別物。
ある程度人気が出てきた途端に態度がでかくなって平気で裏切ったりする。
自分のものにしておく気はないけれど、
恩を恩とも思ってないような仕打ちをされたりするとホントつらい。
けれど、多分本人は若さゆえの無知だったりするので、
悪いことをしているという意識すらないのがまた痛い。

けれど、やっぱり、「助けてください」なんて言われると、
つい動いてあげてしまう理香は、お人好しなんだろうか。
ある人からは「バカ」と言われますが。

これだけいろんなコトを分かっている理香ですら、
同じ失敗を何回も繰り返している。
そう、「人を育てる」って失敗をね。
だから、「新人を育てたい」なんて言っている人たちを、
批判したり、バカだな〜なんて言ったりは出来ないんだよね。
同じ穴のムジナだもん。

（16th Feb. 2006)