夜叉

先日、MCのお仕事に入りました。

理香はその時、連日３９度を超えるほどの高熱が出るぐらいの体調で、
ホントのことを言うと休みたい気持ちでいっぱいだったんだけれど、
ことこういう喋りのお仕事に関しては
なかなか差し替えの聞かないモノだと言うことも知っているし。

とはいえ、３９度だからね。
弱音はいてもいいぐらいではあったんだけれど。
この事務所で受けるのはまだ２回目のお仕事だったので、
断りづらいという事もあったりして、がんばりました。

幸い現場はみなさんとてもいい方ばかりで、
自分の体調以外はナンの心配も問題もなく、素晴らしいコンディションでした。

電話がかかってきたのは午後１３時半。

マネージャーといったらいいのでしょうか、
個人事務所なので社長といったらいいのでしょうか、
それとも彼女も現役なので、先輩と言ったらいいのでしょうか。
とにかく事務所の人から電話があったのです。

調子を聞かれたので、
「今控え室がわりのお部屋で寝させて貰っています」と言った途端、
声色ががらっとかわりました。

「はあっ？あなた、体調が悪いって言ったの？！
それってプロとして失格よね！」

ワタシはびっくりしてしまいました。

確かに、多少調子が悪いとか、微熱がでてるだとか、
ちょっと打撲して骨にヒビが入っただとか、
そんな程度の事だったらあたしだって、何も言いません。
正直、隠しますよ。
言っても良くなるモンじゃないし。

でも、ぶっちゃけ、朝の段階で３９度オーバーでしょ？
いつ倒れてもおかしくない状況。
ここで隠して隠して倒れたら大惨事になってしまうじゃない。
それよりも、最初から「体調が思わしくない」とカミングアウトして、
本番以外の所では多少ゆっくりさせてもらって、体力を温存して、
本番に全力疾走出来た方が１００万倍も良いじゃない。

それがプロの仕事でしょ？

なんで根性論ばかり振りかざすような人が多いんだろう。
色眼鏡で見るわけじゃないけれど、
コンパニオンあがりの人とか、
現場たたき上げみたいなイベントＭＣさん（選挙嬢とか）に、
この手の「こわいひと」が多いような気がするのは気のせいですかね。
（と、よく友達たちと喋っているのですが）

というか。もしもあたしが事務所だったらどうするだろう。

「ちょっと体調が悪いみたいですが、
頑張ると本人が言ってるのでヨロシクお願いします」
「この子もプロなんで大丈夫だとは思いますが、
万が一なにかあったら申し訳ないですが助けてやって下さい」
ぐらいのことを先方に言っておくと思うんだけれどね・・・。
いきなり倒れたらどうするんだろうね。

事務所にもよるけれど、たまにとてつもない厳しいトコとかあるんだよね。

そういえば以前コンパニオン事務所で、おばあちゃまが亡くなったとき、
お通夜にすら駆けつけさせて貰えなかったことがある・・・。
それ以来二度とコンパニオンやらなくなりました☆。
トラウマです。

今考えても、どう考えても、差し替えなんか出来るじゃん？
オーディションがあったわけじゃないし。
事務所がめんどくさくて代わりを探さなかっただけじゃん？

当時は新人で何もわからなかったけれど、
今、何年かこのギョウカイを経験してきて分かることもある。

事務所なんか絶対じゃあない。
社長だからって偉いワケじゃない。
人が出来ているワケじゃない。