孤独な天国

ばかだな。
あたし、人間じゃないのに。
ばかだな。
あたしを見た目で判断するなんて。
ばかだな。

ばかだな。
あたし、鳥じゃないのに。
ばかだな。
あたしに食らいつくなんて。
ばかだな。

あたし、そんなにきれいじゃないよ。
あたし、そんなに完全じゃないよ。

ばかだな。

あたしを貪り食ってしまったら、
あなたに残るのは、孤独な天国。
いつでも、あたしはあなたの側で見守っていたのに。
聖母マリアのほほえみで、受け入れていたのに。

ばかだな。

なんで、何も信じられないの？

世界は儚く消えるうたかたの夢。
信頼するにはあまりにも頼りない陽炎。

でもね、形は移り変わっても、
世界を構成する質量は一定なんだよ。

この意味って分かるんだろうか。

あなたの心が作り上げる世界が真実の世界なのにね。
どうして破壊したい衝動に駆られるんだろう。
組み立て直しても、今以上のものなんてできやしないのに。

あなたは思っている。
壊しても壊しても、復活して欲しいと。
キリストの魂を願うように。

けれど、リセットできないゲームだってある。

全てを壊した後に真実のみが残るって信じているのは理想論者だから？
全てを壊せば、真実まで壊れると考えるのは現実論者だから？

ねえ、世界は何がホントなんだろうね。

でも、あなたが築く孤独な天国に、きっと、あたしはいないよ。
喰らってはいけないものを口にしようとした罰を、
きっと神さまが与えてしまうから。

せめてもの慰めに、
白い羽根のひとひらでも、残して行けたらいいのにね。