Be Happie!

人は、たまに妙に感傷的になるときがある。

ある時、私は友達と海外のクラブに一緒に遊びに行った。
場の全員は彼女の友達で、理香とは初対面だったのだけれど、
みんなとてもフレンドリーで暖かく私を迎えてくれました。

理香はこう見えて、実は相当なワーカホリック。
「どこで遊んでるの？」なんて質問があっても、
「忙しすぎて遊んでる時間なんてないし」なんてまじめに答えてしまう人。
そんな理香でもすっかり馴染んで、飲んだり踊ったりして楽しい時を過ごしました。

クラブが午前３時に終わった後に、
みんなでご飯を食べに言ったときの事。
誰かが、理香の友達の元カレを携帯電話で呼び出した。

午前４時に、あわてて駆けつける元カレ。

久し振りに逢う彼女の表情は、なんだかとても可愛らしく見えた。
最初は、いいよいいよと迷惑そうな表情だったんだけれど、
いざ、カレが来ると、別段、そんな風でもなく、
なんか、多分複雑な感情なんだろうな、と思った。

その夜、私たちはベッドに横になりながら、ぽつぽつと言葉を交わした。

「・・・あのね、さっきの私の元彼なんだけれど・・・。」

「うん。なんかいい人そうじゃないの？
カレ、好感度、高いよ。」

「うん。そうなの、いい人なの。」

「でしょ？見ていて分かるよ。」

「いい人なの。いい人過ぎるの。」

「・・そ？」

「うん。あのね、彼と別れたの、実は私が悪いの。
日本で、もっと好きな人が出来ちゃって。」

「まあ、それはしょうがないんじゃないの？」

「でも、カレは私を全然責めないんだよね。
どう考えても私が絶対に悪いのに。
私はそれがなんか辛くて。
今日だってこうやって、全然フレンドリーに迎えてくれるし。」

「・・ねえ、でもね・・・。」

そこで私は言葉につまってしまった。
一体なんて言っていいのか分からなかったから。
自信満々に見える彼女の、
クールな顔の下の不器用な一面に触れてしまったような気がして、
なんて私の気持ちを表現して良いのか分からなかったから。

「ただ、悩むことはないと思うよ。
っていうか、悩んじゃないけないと思う。
だって、あなたが今悩んだら、全ての人が不幸になってしまうじゃない？
貴方も不幸だし、カレだってどうしていいのかわからなくなってしまうし、
日本に残っている貴方のカレだってかわいそうだわ。」

そこで、いったん息をついた。

「Be happie、ヨ。
貴方が幸せになること。
きっと、みんなそれを望んでいるんじゃない？」

そう。
人は生きる上で、どうしても人を傷つけなければならないときがある。
けれど、その贖い（あがない）は、きっと、どこかでするべきだと思う。
でも、なんだかんだいって、一番大きな贖いは、
きっと、自分が幸せになること。
大きく、豊かな人間になって、周りの人々を幸せにすること。

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・・・このマレーシアの異国の地で、
ふと眠れぬままにベッドに寝ころんでいると、
昔のいろいろな出来事が思い浮かんでくる。

何年も前、ある国で、ある友達とあんな会話を交わした事までも。

（04th Mar. 2006)