Hot City

長期海外出張をしていて日本に帰ってくると、
なぜだろう、とてつもない不安に襲われる。

電車に乗る。
ほんの一週間、十日、いないだけで、広告が全部変わっている。
街が見慣れない姿を見せる。
普段生活していれば、今日はあそこ、明日はそれ、というように、
徐々に姿を変えていくから、特に気にはならないんだけれどなぁ。

かかっている音楽が違う。
日本のヒットチャートのめまぐるしさは世界最速だろう。
あっという間に話題に乗り遅れている。

ホームページもブログも、
あたしがいないだけで書き込みががくっと減っている。
ブログポイントを見ると、半分、いや３分の１ぐらいにまで落ちていて、
そのさびれ具合に愕然とする。
まあ、理香のファンの子達は優しいので、
帰ってきたときにあんまりレスが多いと、理香が大変だろうと、
そこまで意識してわざとコメント書かない人も多いのだけれど。

なんていったらいいのかな。

あたしは東京を生きている。
その東京には、すさまじい量の情報が溢れている。
あたしは自分のオウン・サーフボードを使って、
その情報の波の上をすいすいと渡っている。
或いは、自分のマシンを使って、ジムカーナさながらのレースをしてる。
「いらない情報」という障害物をかいくぐりながら。

そのサーフボードを、車を、私の道具を、
私はなくしてしまったみたいだよ。
ほんのちょっといなかっただけなのに、
毎日こなしていればたいしたことはなかったのに、
溜まりに溜まった莫大な量の「ホットなモノ」や「情報」が、
あたしを押しつぶしてしまう。

怖い。
日本という街を留守にするのが怖い。

置いて行かれちゃう。
よそ者になってしまう。

日本という国のスピードの速さに唖然とする。

マッハの世界で駆ける日本は、魅力的だ。
これが世界に冠するHot City 日本という国の実力。
けれど、そこからはじかれることのなんて簡単なことなんだろう。

（27th May. 2006)