マレーシアに居る間、理香が快適に過ごせた理由の一つに、
素敵なヒトとの出会いがあったというのをあげることができるでしょう。

勿論、素敵なヒトとは沢山出逢うのですが、
今回であったのは、とても誠実なタクシードライバーさん。
私は今回の滞在中、彼がいてくれてどんなに助かったかわかりません。

知っているヒトは知っていると思うんだけれど、
マレーシアのタクシーって最悪！

タクシーの運転手さんも、怖いヒトが多い。
人を見た目で判断するのは良くないことだとは分かって居るんだけれど、
それにしても、半分黒人みたいな、ヒゲがもじゃもじゃの、
イスラム系の帽子を被ったような太ったいかついおじさんに、
ガラ悪く迫られるとかなり怖い。
・・・って、ちょっと差別入っちゃっていたらごめんなさい☆。

しかも、暑いし、ショッピングは多いし、
タクシーを使わないわけにはいかないし。
平気でぼってくるし。

・・って、ぼられてもたいした値段じゃないんだけれど、
「騙された」って気持ちが嫌。
逆に正直な人だったら、いくらでも払うのになあ。

と思っていたところで見つけたのが、彼。
中国系マレー人でとても勤勉。とても信頼が出来る。

「他のタクシー・ドライバーさんと貴方は大分違うね」
なんて話をしていたら、彼はこんなコトを言っていた。

「タクシーの運転手というのは、今、自分に与えられたチャンス。
自分はこれを機会にして、事業を始めたいと思っている。
自分が他のタクシー・ドライバーさんたちと違うのは、
自分はホントはタクシー・ドライバーじゃないからじゃないんだろうか。
彼らは、未来がない。
（→未来の事は考えてない。他の職業は考えてない、という意味だと思う）
でも自分は未来のことを考えている。」

単純な理香は思ったね。
「ああ、こういう人こそチャンスをものにして成功して欲しい！」と。

正直者がバカをみるような世界はダメだと思う。
あたしは、世界の「良心」になりたいと思う。
ちょうどコオロギがピノキオの「良心」たり得たように。

・・・と、思って私は彼に理香の滞在中の全てのエスコートをお願いすることにした。
サーキットの送迎。街中の観光・散策など。

彼は素晴らしい働きをしてくれた。
「○時にここで待っていて」というと、
必ず何十分も前からそこに待っていて、私たちを見ると速攻車をまわしてくれる。
そのタイミングの良さ。カンの良さ。
ホント、プロの仕事を見せて貰ったと思う。

車をチャーターさせてもらったお陰で、
理香達は車のトランクに荷物を置いて出かけたりすることも出来た。

又、仕事でサーキットに行くときには時間のカンケイもあるのでともかくとして、
（そういうときの彼は、ちゃんとまっすぐ寄り道もせず急いで車を飛ばしてくれました）
買い物や遊びに行くときには、
私たちが喜びそうな観光名所の近くを通ったときに、
必ず立ち寄って簡単な説明をしてくれたりもした。
お陰で、今までＫＬ（クアラルンプール）にいても見ることが出来なかった
たくさんの史跡や名所を見ることが出来たのにはとても感謝してる。

なんかの話で「普通の人の生活が見たいね〜」なんて話になったときに、
私が、「失礼かな？」と思いながらも、なるべく婉曲に、
「もし差し支えがないのだったら、貴方の街を見せて欲しい」と頼むと、
快く自分のおうちの近くまで連れて行ってくれたりした。
「へえ。普通の人ってこんなトコに住むのかぁ」って、とても勉強になった。

又、どっか行くときには、
「ここは危ないから気を付けて」とか「お財布をしまいなさい」とか、
事細かに注意を与えてくれる。
ある女の子が軽いトラブルに巻き込まれたときには、
私たちにかわって電話をかけてくれたりした。

なんだろう。
ホントにプロなんだよね。
タクシードライバーという職業以上の人だと思う。

しかもいい人。

あたしたちが、ご飯を食べに行ったときに、
「最後の夜だしホントに御世話になったから、彼も呼ぼう！」と提案して、
一緒にご飯を食べたのね。
そしたらなんと彼が払おうとするの！アリエナイ。
勿論、無理矢理そうさせなかったけれど、
今考えると、そこで彼に花を持たせて、彼に払って貰っておいて、
後でタクシーフィーを払う時にチップとしてご飯代を付ければよかったか。
私はまだまだ修行が足りないな。
もっと「男を立てる」ことを学ばないといけない。

彼は、最後に空港に送ってくれたときも、
タクシーを駐車場に止めて私たちを送るために空港の中まで来てくれたんだよ。
そして理香の手荷物を持ってくれたりとか。
ホント、助かっちゃいました。

理香が、リンギットが足りなくて困っていたら、
「自分がある」とか言って出そうとするので無理矢理とめました。
カードはあるんだけれど、理香、ＪＣＢしか持ってないから使えないんだよね。
グッチやヴィトンやフェラガモでは余裕で使えるんだけれど、
ハイブランド以外は全部現金でした。
たいへん！あたしもともとそんなに現金持ち歩かない人だからなぁ。

タクシードライバーといえば、
いかにお客様からぼろうかと考えている人たちばかりなのに。
こんな人がいるなんて、なんてプレシャスなんだろう。

彼の名前はフランシス。

マレーシアに行く人がいたら理香に声をかけてください。
彼のことを大事にしてくれるんだったら、彼を紹介しますから。
携帯番号を教えるので、マレーシアに着いたら連絡してみてください。
そして「理香の友達だ」と言ってあげてください。