Holy Mary

この世の中には、怒りをパワーとして動いている人がいる。

そのマイナスの波動は私に恐怖を与える。

あたしが菩薩になって、あたしがマリアになって、
あなたを救えたらいいのにね。
あなたの苦しみを、悩みを、鬱憤を、毒素を、
昇華してあげることが出来たらいいのにね。

私の名はマリア。
けれど、神さま、私には荷が重すぎます。

この世の中のさまざまな干渉。
身を守るための小さな殻はタマゴのようにもろくて、
小さな衝撃で、簡単にヒビが入る。

きっと、小さなパンドラの箱の中に
無理矢理入ったのは、悪の方。
誰かに捕まえられて閉じこめられたワケじゃない。
希望という綺麗な存在が、それ単体で輝いているのを汚すために、
寧ろ悪は、自分から進んで、
小さな箱と蓋の隙間から、忍び入ったに違いない。

悪にけがされてしまった「希望」が最後に残っても、
その光はあまりにも弱々しくて、
人間が心にキープし続けることも困難だ。

そしてわたしも。

自分で紡ぎ上げた白い繭を犯さないで。
毒入りの鱗粉を振りかけないで。
私を引きずり込まないで。

あたしは、白い神殿で、ひたすら祈っているのに。

あなたの為に祈っているのに。

私の繭を壊さないで。
私を引きずり出さないで。
私の安定は、有機物の結晶なんだから、
水をかけたら一瞬で溶けてしまう。

世界の全ての悪や、ダークな諸々から目を背けて
漸く作り上げた、あたしの完全な隠れ家。
暗いオーラが、煙となって、
僅かな繊維の隙間から進入してくるよ。
やがて、逃げ場をなくしたあたしは、
この繭の中で窒息するのかな？

平和のために、できること。
それはラディカルなモノじゃない。
ただ、穏やかに存在すること。
そんな簡単な真理が、どうして理解して貰えないんだろう。

浄化して、天に返してあげれたらいいのに。
ホントのあなたを覚醒させることが出来たらいいのに。

あたしの名はマリア。

（27th July. 2006)