秘密

秘密をあたしに言わないで。
その重さに耐えかねてしまうから。

秘密って、だいじなものだから、
絶対に墓場まで心の奥底にしまって鍵をかけなければならない。
これを守れない人っていうのは、人としておかしいと思うし、
なによりも自己嫌悪になってしまう。

けれど、人って言うのは、
知らないってコトが幸せなこともある。
知ってしまったが故に、もう楽しめなかったり、
同じ気持ちで物事に望めなくなってしまったりする。

気軽に、会話の中で、ふっと
聞いてはいけないことを聞いてしまったとき、
これをどうやってキープしたらいいのか、戸惑うことがある。

しかも。
なぜだろうな。
あたしは、人の致命的な秘密を打ち明けられることが多い。
まあ、それだけ信頼されているのかも知れないし、
「こいつなら言わないだろう」って安心感もあるのかもしれない。
そう。これはきっと良いこと。

でも、もしも万が一、その秘密が何らかの形で漏れたときには、
あたしが言ったという風に疑われるんじゃないのだろうか。
逆に、漏らした人は「知らない」というコトになっているから、
疑われることがないんじゃないの？
だとしたら、超ヤなカンジ！

けれど、自分の、一世一代の秘密を人に打ち明けるときには、
多分、その人も自分自身が耐えられない時なんだと思う。
秘密って言うのはどうしてこう、重たいものなんだろうね。
「打ち明けて楽になりたい。」
そういう欲求が常につきまとう。
だから、穴を掘って「王様の耳はロバの耳！」と叫ぶ人も出てくるんだよ。

だとしたら、やっぱり、私は私を選ぶ人を否定出来ない。
私も何度も騙されて、人を信じない方がいいというのは分かっているから。
（とはいってもそれでも信じていたい目を見続けているのだから、
本当に救いがたい阿呆だと自分自身思っているが）
うっかりした人に打ち明けてしまって、
後で「覆水盆に返らず」状態になるぐらいだったら、
まだあたしに打ち明けておいた方がマシだろうな、とは思う。
あたしは、別に人の秘密を嗅ぎ回る趣味もないし、
人の秘密を誰かに漏らす心配はないわけだから。
それに、私は、人にどんな過去があっても、どんな現在であろうと、
又、職業や犯罪歴や国籍や家柄なんてそんなもんで、
その人の評価は変わらないし、その人への態度も全く変わらない。

そういや、今ふっと思い出したんだけれど、
以前、友達に年齢でキレられたことがあったっけ・・・。
「○○と同じ年？」って言われて、「そうそう」なんて言っていたら、
「じゃあ、２１歳かあ」。
・・・えっ？！彼女、そ、そういうことになっていたの？！
でも、そこで否定するわけにももういかず、適当に話し合わせておいたんだけれど。
後でなぜか「俺に嘘ついた」とかきれられたコトがあったっけ。
別に彼氏でもないくせによくあんなコト言うもんだとも思ったけれど、
世の中、こんなバカみたいな些細なことで他人を受け入れられないような
ちっちゃい人間も多いのでマジで気を付けた方がいいですよ。

ただ、どんなに相手が変わらなくても、
人に秘密を打ち明けた分、
打ち明けられた人は逆に重荷を背負ってしまうのは知っておいた方がいいかも。
「重荷」と感じるだけの良心がある人も多いと思うので。

（24th Jan. 2005)