アドバンテージ

自分にアドバンテージがあるということは、
本当に素晴らしいことだ。
自分がどんな人間であっても、
そのアドバンテージが全てを覆い隠してくれる。

例えば、この資本主義社会の中で、
お金を持っている人というのは、或る意味神さまだ。
周りのみんなが自分に頭を下げてくれるし、
大体何でも願い事は叶う。
勿論「１００％なんでも」というワケでもないのだけれど、
でも、「出来ないこと」の殆どは、
その心の持ちようでカバー出来るコトが多いので、
ほぼ全能といういい方をしてしまっても構わないだろうと思われるのね。

でも、アドバンテージのある時こそ気を付けなきゃならない。
だって、それは人を麻痺させてしまうから。

例えば、自分が全ての身分を隠し、ぺーぺーのアルバイトなんかをやったら、
かなり容赦なくずけずけとモノを言われるだろうし、
相当自分というものについて考えるだろうと思う。
荒らぶれた川の中に放り込まれた小石のように、
大きな波に翻弄されながら、
やがて綺麗に光り輝くまるい石になるだろう。

けれど、自分が、アドバンテージという綿の中にくるまれているのだったら、
いつまでたっても角は取れることがなく、
磨かれるコトもないだろう。
それは幸せなことなのか、不幸なことなのか。

勿論、一生真綿にくるまれるという保証があるのならば、
別に構わないんじゃないの？
誰も、自分自身の根底を覆すようなコトが起こるなんて思ってないだろうけれどね。

そして、不意に足元をすくわれるような事件が起こったりなんかする。
例えば、記憶に新しいライブドアみたいに。
或いは天変地異が起こって全財産を無くしてしまった人だっている。
「時代の寵児」まではいかなくても、世界一なんかを望む程でなくても、
自分の足元なんか簡単に崩れ去ってしまうのにね。

だから、気を付けなきゃならない。

あたしは、アドバンテージは素晴らしいと思う。
この、自分が「有利」な時に、さっさと沢山の種を蒔いて、
豊かな実りの時を待つべきだよね。
人から感謝されるような人間になるんだよ。
「どうして自分が」とか「損得」なんて考えずにね。
っていうか、また、アドバンテージを持っている人程、
けちくさい考えを持っていたりするんだけれど、
ありゃあ、見ていてカンジ悪いだけじゃなくて、ちょっとみっともないよね。

あたしは、別にそんな金持ちでもないけれど、
けれど、まあ、同じ年の女の子たちよりかは少しばかり頑張っている。
だから、よく、一人暮らしで頑張ってるような後輩達にご飯をごちそうしたり、
まだ売れてない女の子達にちょっとしたプレゼントをあげたり、
そういうコトを頻繁にしている。
もしもあたしが、世界で有数のセレブになったとしても、
きっとこのスタンスは変わらないだろうと思う。

お金持ちにはノブレス・オブリージュがあるのだから、
収入の何パーセントかは、
貧しい人、困っている人たちに使ってあげなければならない。
そして、何よりも気を遣ってあげなければならないのは、
小さな隣人達なのだから。
勿論、遠くの難民も大事なんだけれど。
けれど、自分の周りを幸せに出来なくて、なんの援助だろう？

アドバンテージのあるうちに、みんなに還元してあげなきゃ。

理香が口癖に言っているのは、
「出世払いでよろしく！」
そう、みんなが偉くなったときに、返してね。
あたしにじゃないよ。
その時に困っているあなたの隣人に、同じ事を言って返してあげて。

社会は持ちつ持たれつのサークルなのだから、
きっと、いつか、自分が困っているときに、
どこか関係ないところからめぐりめぐった善意が返ってくるよ。

（23th Jan. 2005)