あんなにも熱中したモノなのに、
どうして、今は陳腐に見えるんだろうね。

好きになると燃え上がるのに、冷めるときは一気。
これは一体国民性なんだろうか。
それとも現代っ子の括りに入れられてしまうんだろうか。

宝物が手からこぼれるような寂しさ。
やっと捕まえたちょうちょが、
意外とグロテスクで手を離してしまうようでもあり、
やっと見つけた宝箱の中身が、
すでに誰かに持ち去られて空っぽだったというようでもあり。

こんなにも忘れっぽい人間だもの。
きっと、「冷たくしよう」と思ったのならば、
いくらでも冷たいそぶりが出来るに違いないね。

いくらでも冷静になれる。冷静でいれる。
だって、ものの価値なんて無いに等しいんだもの。
そう、あたしたちは既に何もかもが無価値だって知ってしまったから。

ちょっと怖い。

「イマイチ熱くなれない」沢山の子供達は
きっと、自分の感情を持てあましている。
叶わない夢なら見ない方が心が平穏でいられる。
そうして、感情のポットに蓋をする。

欲しがるのは、みっともないこと。
豊かなあたしたちはそう教えられてきた。
欲しがる自分も、また恥ずべきモノ。
友情も、愛情も、豊かさも、すべて。

「美学」？
そんなもんじゃないよ。
そんなことでつっぱることすら、かっこわるいし。

何も要らないワケじゃない。
そりゃあ、欲しいモノは欲しいんだけれど、
それはくれるときに欲しいって言えばいいんだよ。
手に入るか入らないかわかんないものに力も時間も使いたくないし。
そんなあたしって、かなり計算上手じゃん？
時間とパワーをやりくりして、うまく人生歩んでるし。

拗ねてるわけでもない。
何かに対して怒っているワケでもないし。
がんばろうと思わないわけでもない。
でも、スタミナ続かないんだよね。
もういい年なんだし、って、１０代でも２０代でも思っちゃうよ。
いつからこんな思ってるんだろう。
っていうか、生まれたときからなのかな。まさかね。

漫画かアニメみたいなミラクルが、いっそ起こってくれたらいいのにな。
自分の常識がひっくり返るようなすごいこと。
例えば、教室が漂流しちゃうとか、異世界に引き込まれちゃうとか、
変なイキモノが出てきて実は私が魔法のプリンセスだったと告げるとか。
したらちょっとは頑張れるかもしれない。

誰かのために死ぬみたいな、華々しいことに憧れないわけでもない。
かっこよく戦に出向いて戦うのも素敵じゃない。
でも、羊水みたいな現実に浸かっているあたしはふにゃふにゃで、
そんなシチュエーションが起こらない限り、
そう、現実世界に産み落とされない限り、
きっと、歩こうなんて考えないんだろう。