目線

理香は目線外した写真も大好き。

だって、ほら、情緒があるじゃない。
びばっとカメラを見つめているのも素敵だけれど、
なんとも説明しがたい空気が目線はずしの写真には流れている。
雰囲気が作られる。

もちろん、目線がある写真の良さもわかっているつもり。
いわゆるブロマイド的な写真だったり、記念写真だったり。
目は心の窓だもんね。
やっぱし目線がある写真は、心に訴えかけてくる力がある。

目線の写真が「論文」ならば、目線外しは「詩」だ。「歌」だ。
余韻を楽しみ、ストーリーを想像する楽しさがある。

だから、撮影会なんかでも、
「目線がないとシャッターきらないぞ」
っていうのはちょっともったいないかもしれないよね。

だって、素敵なチャンスをたくさん逃しているってことなんだもん。

それからね。
目線がある写真って、ある程度自分で予測ができるの。
だって、自分で鏡を見ればいいじゃない。

けれど、目線を外した姿って、自分では絶対に見ることができない顔。
いくら見ようと思っても、見ようと思って目線をあげた瞬間に、
鏡の中の私も目線を合わせてしまうから。

逆を言えば、
目線外しの写真って言うのは、
いつ見ても新しい驚きを持って発見することができるの。

（24th Dec.06)