沈黙の徳

私は今まで喋るということが重要だと思っていた。
異なるバックグラウンドの人間が、互いを理解するためには、
言葉を尽くして語らないとならない。
勿論言葉は選びながら、だけれどね。

けど、沈黙って素晴らしいと思う。
みんなが良い風に解釈してくれるから。

変なことを喋り散らすぐらいだったら、黙っている方が良い。
その方が絶対に印象が良くなるから。

そう考えると、「昔はオヤジも威厳があって・・・」なんて言葉だって、
妙に現実味を帯びてくる。
たまにしか喋らないから、たまに喋ったときに考慮される。

そして、沈黙されることによって、
ヒトは、あれこれ考える。

「私は何か悪いことをやったんじゃないだろうか？」
「どうしたんだろう？」「大丈夫だろうか？」ってね。

あれこれ試していく内に、落ち着くところに落ち着いてゆく。
それは自分が成長することでもある。

黙っている人が近くにいるということは、
言葉は悪いけれど、犬や植物を飼っているのに似ている。
何をして欲しいのかを的確に察知して、先回りをしないとならない。
これが、自分を鍛えるもとになる。

他人を思いやる心が生まれてくる。

（24th Apr. 2006)