嘘も方便

人を傷つけない嘘ならば、
どんどんついた方がいいと思ってしまう。
そんな私はおかしいのでしょうか。

「正直」ってさ、みんながさも唯一無二の絶対善のように扱うけれど、
ホントはとても残酷なコトだと思うんだよね。

わかりにくいかな？
例えばさ、いくら真実で本当に思っていたとしても、
「わあ、ブスだな」なんて言ったらまずいでしょ？
とりあえずそれに触れないでおくのが一番いいわけだし。
或いは「髪の毛が綺麗ね」「洋服のセンスがいいわね」と、
違う部分で褒めておくとか。
そういう努力をしているのに、
何を勘違いしたか「私って綺麗？」と言われてしまった場合にどうしよう。
それでもやはり「不細工でしょ」と答えるのは相当いただけないことだと思うんだよね。
そりゃあ、確かに、正直は正直なのかも知れないけれど、
私はその人の人間性を疑いたくなってしまう。
理香の場合だったら、「年上にうけそうな雰囲気だよね」とか、
「外国人にもてるでしょ」とか、なるべくポジティブな方向に持っていくけれど、
そこまで思いつかない人は、
「私は、綺麗だと思うよ」と答えておいてなんの不都合もないと思うんだよね。

いいじゃん。
世界がそれでハッピーなら。
誰に迷惑かけるわけでもナシ。

なんでも正直である必要性はないよ。
というか、なんでも正直にしようだなんて、
はっきりいって「自己満足」以外の何ものでもないね。

正直って楽な道だよね。
だって、頭使わなくて良いもの。
嘘ってつくのに頭がいるじゃん？
つまり「正直」っていうのは、努力を放棄しているんだよね。

それに、なんか字面からして「正義」みたいな気がするモノ。
「正しい」に「素直」だよ。
なんか、ヒーローオーラがばしばし出てるよね。

でも、ホントに正しいことは、神さまのみぞ知るなのさ。

それに、理香の場合はもっと顕著。
例えば、もし彼氏出来たとして、
彼氏が浮気するなら浮気してくれて構わないと思っているのね。
ただし！絶対理香に分からないように嘘をつき通して欲しいの。
どんなに理香に痛いところつっこまれても、絶対嘘で固めてほしい。
その代わり理香も、相手との関係を壊したくないからこそ、
ホントに怪しそうだったら敢えて突っ込まないし。

例えば、普通に乗り気じゃないときに、友達から電話かかってきた。
その時に断る口実として、
「ごめんね。本当は遊びに行きたいんだけれど、どうしても体調が・・・。」
「今バカみたいに忙しくて、ホントあり得なくて、ごめんね。」
なんて、嘘を言ったりもする。
でも、それは人付き合いを潤滑にするための油のようなものだから、
必要悪だと思っているんだよね。
「どうしても人が足りなくて困ってるの」なんて言われたときに、
「今、お風呂入っちゃったし、映画見てまったりしているからいや。」
なんて、正直に答えたら、それが真実でも絶対良くないと思うんだよね。
いや、気持ちはよく分かるよ。でもさあ・・・
「あそう。あたしは映画以下か」
絶対そう思うでしょ？

誰だっけ？誰かが言ってたな。
でも台詞忘れちゃった。
○○使うな。気を遣え。だったかな。
○○に入る文字ってなんだっけ。
「金」だったかな？？「体」だったかな？？
というか、もしかしたら、逆だったかな。
そうだ。逆だ。
誰か男性が、女の子に飲み物かなんかを入れてあげようとしたときに、
そのはすっぱな女の子が冗談で言っていたんだった。
「気を遣うな。金使え」ってね。

まあ、それはともかく、
自分が実際に動きたくなかったりするときには、
その分気を遣うのは、人として当たり前のことだと思ったりもする。
そして、嘘って言うのは気遣いだったりするんだよね。

ほんのちょっとの嘘で、世界が救えるのならば、
何の躊躇をすることがあるんだろう。

（22th Sept. 2005)