ユグドラシル

あなたは私が守るからナンにも心配なんてしなくていいよ。

新しい世界は、楽しい。
でも人とは知らないことには恐怖を感じる生き物だから、
きっとあなたは今怖いはず。
自分の夢が実現する喜びにふわふわと心浮かれていても、
時々ふと足の下を見ると、雲の切れ間から下界が見えたりして、
生きた心地がしないこともあるでしょう。

あたしだって、怖かったモノ。

でも、きっとあなたは思っている。
「理香さんは特別なんだ」って。
あの白い大きな羽根があれば、空なんて怖くないし。
第一もう随分長いことこの大空を住処に強いてるんだから、
なれてるんだろうって。

違うのにな。
今だって普通に雲の上に立っているよ。
羽根？それはあなたが見ている幻想。
あたしは羽根なんて持っちゃいないし。

でもね、あたしは知っている。
どこが危険で、どこが安心出来るのかとか。
この空から引きずり落とそうとする手を、
どのようにかわしたらいいのだろうか、とか。
経験値が溜まれば溜まる程に、生きやすい世界なのだから、
あなたが命を落としそうになった時には、
あたしがガーディアンエンジェル（守護天使）になってあげるよ。

だけどね、いつもべったりはしないよ。
それはあなたのためにならないから。
あたしの陰に隠れてしまったら、あなたに経験値が溜まらないでしょ？
あたしが、この世界から消えてしまったら、
あなたはどうする？
「やめないでください」という言葉は嬉しいけれど、
いつまでも引き留められているわけにもいかないし。

だから、まだ弱い雛の内は、
ここぞという時には翼の下にかばって助けてあげる。
少し大きくなったら、早く私から巣立ちなさい。
あたしを踏み台にしてのし上がりなさい。

そして、多くの人たちから言われるの。
「あんなに高く飛んでるよ」って。
見上げられながらネ☆！

（09th Sept. 2005)