This is Helloween

ハロウィンが過ぎたら明日はオール・セインツ・デイ
悪魔のサバドの後には、静謐なる聖人の祝日を祝うの。
聖母マリア様にお灯明を。
小さき花の聖テレジア様にはピンクの薔薇の花を。
理香の守護聖人様に捧げものを差し上げて感謝しよう。

逆を言うと、
聖人のお祝いの前に悪魔達は羽目を外して遊んじゃおうという
そういう特別な日なのだから、
ハロウィンはあたしたちの中に住む悪魔達が、
こぞってはじけ出す。

だから、理香は、ハロウィンの夜が苦手。
昔から苦手。

ちっちゃい頃は、お化けが怖かった。
出も今は人間が怖い。

ハロウィンの夜は、悪魔崇拝者に子供が殺されたり、
学校に放火があったりする。
１００人の処女が襲われたりする。
地方によってはハロウィンはかなり物騒だ。

でも、今日が終われば、
サンクスギビングデイやクリスマス、ニューイヤーと続く
スペシャルなホリデイが待っている。

サンクスギビングデイには、豊かなる実りを感謝して、
何十ポンドもあるターキーをオーヴンでこんがり焼きましょう。
ママと、お手伝いさんとで、垂れる油を何度もかけて、
照りよく仕上がった素晴らしいスタッフド・ターキーを切り分ける瞬間。
親戚一同で食べきれなかったターキーは、
翌日は骨を外して、コールド・ターキーのサンドイッチになって、
朝ご飯の素敵なメニューになって再び幸せを運んでくる。

恐ろしい顔のジャック・オ・ランタンは、
生クリームのたっぷりかかった甘いパンプキンパイに変わるよ。
冷蔵庫よりも寒い屋外で保存されたオレンジのパンプキンは、
一ヶ月経ってもまるで風味の落ちることもなく。
中に灯した蝋燭は、蜜蝋で作られたキャンドルだから、安全無害。
痛んだところだけちょっと剥いて、まるまるリサイクルなのさ。

クリスマスにはもっとオイシイモノがたくさん。
こっくりしたエッグノッグを飲んで少しよっぱらってみたり、
ジンジャークッキーを焼いてフロスティングしてみたり。
そうそう。手作りのクロシェの靴下の中のプレゼントだって楽しみ♪
大人だって、子供だって、プレゼントを貰うのは嬉しいサプライズ☆。

そしてニューイヤー。
ハウス・パーティーのカウントダウンを
おおきなグランド・ファーザーズ・クロックの前でやったら、
後は歓声とハグの嵐☆。
みんな、新しい年を景気よく祝おうよ！
日本のしっとりしたお正月もなかなか風情はあるけれど、
アメリカのニューイヤーの楽しさも捨てがたいよ。

そんな楽しみを秘めながら、
ハロウィンの夜は不気味に更けていく。
悪魔達のお祭りはいつまで続くんだろう？

Trick or treat?

（31th Oct. 2005)