グランド・フィナーレ

今年のモーターショウで一個だけ惜しかったことがある。
それは「グランドフィナーレ」に出られないこと。

「グランド・フィナーレ」って何かというと、
モーターショウの最終日の最後にやる特別なコト。

もしかしたら「愛・地球博」みたいな長期博覧会でもやるのかな？
まあ理香はコンパニオンじゃないから、
あんまり展示会事情には詳しくないんだけれど・・・。
とりあえず理香の知識で知っている範囲で書くと、
「東京モーターショウ」でしか理香は経験したことがないな。
「大阪モーターショウ」とか「名古屋モーターショウ」とか、
モーターショウは実は日本全国各地で開かれているものなんだけれど、
会期が短いのも影響しているのかも知れないんだけれど、
「東京」以外で聞いたことがない。
あと、「商用車モーターショウ」の時も聞いたことがない。
まあ、理香が実際に出たことがないから知らないだけなのかも知れないけれどね。

どんなものかっていうと、
例えば、ステージをやっているところだといつもと違うステージをやったり、
アルコールが振る舞われたりして、
出展者もお客さんも一緒になってお祭りして大いに盛り上がるカンジかな。

理香が「現代自動車」やったときには、
確か回転ステージに飾ってある車の中につめてあった
Ｗ杯のFIFAオリジナルサッカーボールをお客さんに向かって投げた記憶がある。
現代自動車って２００２年の日韓共催Ｗ杯のオフィシャルスポンサーだったのね。
ダンロップの時はみんなで踊ったり、キャノン砲が打ち上げられたりして、
相当派手だった記憶がある。

花束をスタッフのみなさんから頂いたりもしたなあ。

やっぱり長丁場のモーターショウ。
辛くて苦しいコトもたくさんあるわけですよ。
今までの辛いことを思い出して、女の子達はわあわあ泣いちゃう人もいるし。
やっぱり苦しいからこそ達成感が違うんだろうね。

途中で、体調不良で女の子達がばたばた倒れていくし、
限界でやめていく人も多い。
通常展示会が朝１０時オープンの１７時クローズなのに、
モーターは朝が早いときで９時。
夜が遅いときで１９時という、あり得ないような仕事量。
しかも期間も今年は三週間という長さ。
今年ももう既にそろそろ追加募集が始まっているけれど、
モーターなんて、大抵人がいなくなるから、途中から急遽募集がかかったりするしね。

自宅からメッセ通いは体力的に本当に辛い。
理香も連日４時間睡眠５時間睡眠で頑張ったよ。
だから自分でマンスリーマンションを借りたり、
友達とシェアしてホテル借りたりしている子達も多かったりする。

けれど、泊まりは泊まりでまた別の気苦労もあったりするのよ。
ホテルの部屋がなくなってしまうモーターショウ期間中、
シングルのお部屋が借りられずツインになる場合が多いのだけれど、
ブースで勝手に割り振られた部屋割りで、
はじめましての女の子と三週間一緒に暮らすのはつらいかも。
理香も、今だから言えるけれど、理香と相部屋の女の子が、
お部屋に彼氏連れ込んでびっくりしちゃったこともあるし、
バスルーム使おうと思ったらいきなり腸内洗浄？の機械？が置いてあって、
大いに困ったコトもある。
まあ理香程度のケースならまだしも、
性格が合わなくて喧嘩する子達はかわいそうだな。
だって、お仕事でストレスためて、安らげるはずのお部屋ですらストレスなんだもん。
ヒステリーで気が狂いそうになるんじゃないの？

自分たちで借りているならまだましかもしれないけれど、
それでももしかしたら、細かいコトでの小さなトラブルってのはあるんじゃん？
例えばさ、理香が早く寝たいのに相手が夜更かしさんだったりして、
寝る時間がずれてる場合もお互いに迷惑だしね。
細かいことを言うと、例えばタバコを吸う・吸わないっていうのもあるし。
理香なんかは近くでタバコ吸われるのがホントに辛いのね。
どっちが先にバスルームを使うかというコトも重要ポイント。
女の子のお風呂とかトイレって時間かかるしね。
理香はお部屋でお香焚いたり、ルームコロンとか香水とか好きだけれど、
もしかしたら理香の好きな匂いが嫌いな女の子もいるかもしれない。

お仕事をしていても、
嫌なお客さんに悩まされる子もいるだろうし、
スタッフの方々とうまくいかない子達も沢山いる。
やっぱり長丁場だからね。
四六時中一緒にいれば嫌な所だって絶対見えるよ。

そんなこんなの苦労を乗り越えて、
最後のグランドフィナーレでは、いろんな思いがあふれ出てきて、
みんなぼろぼろ泣いちゃうんだよ。

ああ、グランド・フィナーレのあの快感！
きっとアレがあるから、あたしは毎回頑張って来れたんだろうな。
そんな風にも思う。
って、本末転倒なのかもしれないんだけれど。

今、モーターショウでつらいと思っているみんな！
きっと、これを乗り越えたら、
絶対新しい景色が見えてくるから頑張るんだよ！
あの地獄のようにも思えたストレスフルな日々を耐え抜いた自信は、
きっと、その後の貴方の糧になるから。
そして、感動のグランド・フィナーレを経験したら、
後はもう、全てがいい思い出になってしまうよ。

（23th Oct. 2005)