プリクラ帳

プリクラ帳をめくっていたら、
名前も忘れてしまったような懐かしい友達たちの写真が一杯出てきたよ。
まるで１００年の友達みたいに、
肩を組んで、腕を回して、抱き合って、
ヘン顔したり、ピースしたり、満面の笑みで微笑んでいる。

この子とは一度しかあったことなかったんだよな。
ああそう、この彼女の友達で連れてきていたんだ。
っていうか、彼女の名前ってなんていうんだっけ。
確か一時期超仲良くしていたんだよね。
なんのお仕事の後にこんなプリクラ撮ったんだろうな。

思い出せないのは、あたしがアルツハイマーなんだろうか。
それとも、これだけ膨大な女の子達が、登場しては消えていくこの世界に、
実はあたしが全然興味を持っていないんだろうか。
脳みそが覚えることを拒否している。
そんな気がする。

流れゆく水の流れは絶えずして、しかも元の水に非ず。
相変わらず沢山の女の子がブラウン管や雑誌の紙面で微笑んでいるんだけれど、
そういえば理香がデビューした頃に全盛だった、
憧れていたあの子達はめっきり見なくなってしまったね。
それどころか、理香より後にデビューして、
さっくりと消えてしまった人も多いかも。

なんか寂しいな。
そんなの思っても詮無いことなんだけれど。
あたしが頑張っていた頃に出逢ってしまった子達ともしも今出逢うことが出来たら。
きっとまた全然違った印象をお互いに持てただろうね。
なんだか、すごく残念だな。

それにさ。
あたしたちがぴよぴよの新人だった頃、
活躍なさっていた諸先輩方が引退してくださったからこそ、
あたしたちの黄金時代が築けたんだから。
時代はあたしたちの手に勝手に転がり込んできて、
そして、きっと勝手に転がり出ていくものなんだろう。

固執する気が全くなくなったのは、
同期の友達がどんどん引退していき始めてから？
それとも後輩ですら引退をはじめたから？

別にまだ限界は感じてないよ。
運動選手とかじゃないしね。
体力的にも、容貌的にも、周りに負けているとは思ってないし、
というか、張り合うポイントも違うし。
別にお仕事が減っている訳でもないし。
多分本腰入れて今の調子でやっていれば、
冗談でなく、３０歳位まではこのままの波に乗っていけちゃいそう。
目指せ、憧れの牛川とこちゃん！だったら、
３０オーバーしてももしかしたら大丈夫かもしれないね。
或いはただの「モデル」でいいのだったら、
ヤングモデル→ミセスモデル→シニアモデルって年を経て、
恐らくこのまま一生出来てしまうお仕事だし。

好きな仕事だから、続けてこられた。
周囲に恵まれたからこそ、やってこられた。
不景気のど真ん中でデビューして、
年々悪くなっていく社会の中で、幸い生き抜いてこられた。
さあ、これから、明るくなってくるよ。
そうなったときに、次の道を既に探し始めている。

でも、これでいいんだよね。

（15th Oct. 2005)