ミキミキと一緒にサーキットに向かう車の中での出来事。
理香が朝ご飯のサンドイッチをほおばりながら、
ふと気になって言った一言。

「ねえ、これって、新車なんだよね。
こんななって車内でご飯食べていいの？
サンドイッチだし、細かいパンくずが落ちちゃうかもしれないし。
気がつかなくてごめんね。」

ミキミキは平然として答えた。
「全然いいよ。
だって、車は車じゃん。」

・・・っていうか、車を土禁にしてる人とかいるじゃん？
ああいうのってあたし嫌いなんだよね。
前、アストロ乗っている人に乗せてもらった事があったんだけれど、
ふかふかの絨毯が敷いてあって土禁なの。
ＴＶなんかが後ろの席にまでついていて。
でも、そういうのって逆になんか貧乏くさくてイヤ。
車は車じゃん？
家じゃないんだからさあ。
家が無くて車で寝起きしている人みたい。

なるほどねえ、と理香は思った。
あたしは自分の持ち物をついカスタマイズしちゃう人で、
どのぐらいかっていうと、
理香のゴージャスな携帯を見て貰うと分かると思うんだけれど、
まあ、そういう性分だから、
車をデコラティブにしてしまう人の気分はよぅく分かる！
でも、ミキミキの言う意味もまあ、分かる。

んで思った。

よく男性が「男の美学」とか言うけれど、
なんか「女の美学」を持っている格好いい女性って多くない？

そういう女性って、言う事は理知的。
割ときっちりはっきり物事を言うし、
何よりもそれが間違っていないと思わせるような
地に足がついた理論なのが特徴かな。

男の美学がややもすると机上の理想論だったり、
「げ。どこがかっこいいの？」って眉をしかめたくなるものだったり、
実践するにはいささか窮屈でみじめったらしいものだったり、
ハードボイルドとか、なんかのシャレとしか思えないものだったり。
そういうものと「女の美学」は好対照をなしているみたい。

「男の美学」が或意味ださくてどろくささがあっても、
「女の美学」はさっぱりしていてキレがある。
むしろ「男前」な理論だったりする。

最近、かっこいい女の人が増えてきた。
「女の美学」を持っている女性が増えてきているからだろう。