欲の喪失

友人のタレント君からメールが来た。
某超強豪チームがレースクイーンを捜している、とのこと。

私は「おおっ。」と思いながら文面を読んでいった。
身長は165センチから170センチ。
23歳ぐらいまでの子。
ケバかったりしない感じの、
吉岡美穂みたいなイメージの子が欲しい。

・・・なるほどね。

昔だったら理香も、
「すごいじゃん!超いいチームじゃん!
どうせダメでもともとだし、受かったらめっけもん。
受けなきゃ0%だけれど、受ければ0,1%でも可能性あるし。
とりあえずトライ!」
なんて考えてがんばっちゃっただろうな。

けど、今は結構冷静だ。

身長はジャストぴたり。
年齢は・・・・。
まあ、少しぐらいオーバーしていてもレースクイーンだし。
こういうのって、あってないようなもんだしなあ。
まあ、そのぐらいの年に見えればいいってことだよね。
でもねえ、あたしはどっかーんと派手だし、
どう考えても吉岡美穂とは似ても似つかぬ感じ。

・・・これは他の子を誘ってあげよう。

最近妙に欲というものがなくなってきたなあ、
と、つくづく思う。

それから、ぼんやりと、友達の事を思い出した。
もうレースを引退してモデルオンリーになっている
理香の先輩であり憧れだったレースクイーンの大橋麻子ちゃんをね。

麻子は、理香がデビューした頃は、
いつも同じモチベーションで一緒に動いていたような気がする。
ここでモデルの仕事があると言えば一緒に営業にいき、
そっちでレースの話があれば一緒にエントリーし、
結構がんばっていたんだよねえ。

ところが、2年もする頃には大分様変わりしてきた。
何を誘ってもすぐに
「いいよいいよ、理香ちゃんがやって。」といってみたり。
理香が何かに決まると良かったねって喜んでくれる。

ぶっちゃけ、実はちょっと無理してるんじゃないかと思っていたの。
だって、モデルやっているのに、仕事を人に譲ったりって
普通あんまりしないじゃない?
まあ、理香は麻子の大親友だから、別格なのかもしれないけれど、
それにしても、麻子だってやりたくない訳じゃないだろうに。

でもね、今なら理香、彼女の気持ちが分かるよ。

あのチームのレースクイーンは、
そりゃできるもんならやらせて欲しいけれど、
でも、別にそこまで執着心もないし。
全く知らない子達がレースクイーンになるよりは、
理香の友達がなってくれた方が嬉しい。
彼女たちが有名になって、ファンがいっぱいついてくれたら嬉しい。

あたしはもうそこまで欲もない。
普通に、みんなが、幸せになっていって欲しい。
なんかとっても穏やか。
老人のような気分だよ。

(15th July 2005)