人間って怖いね。
新聞をめくると、次々出てくる残虐な記事。
ハンセン病の患者の産んだ子供が、
お母さんの目の前で殺されたり、
アウシュビッツ会報六十周年の記事で、
「なぜ私の愛する人を焼いたのですか？」
なんて言葉を目にしたりすると、
本当に心が痛い。

人間って、一体どこまで残虐になれるんだろうか？
心の底から、ぞくっと震え上がるような恐怖。
なんで人はこんなことが出来てしまうのだろう？

人が、恐怖で顔をゆがめているのを見て、
それが愉快に思えるんだろうか？
痛いと悲鳴を上げている人に対して、
更に暴力を加えることなんて出来るんだろうか？
ふと正気に戻ってしまったり、
かわいそうだと思って殺せなくなったりすることって
ないんだろうか？

戦争の場合だと、
自分は殺したくなくても、
上官の命令だとか、ひいては国家の利益だとか、
なんだかんだ背負ってるから、
心の中で謝りながら殺さなきゃならないコトもあるかもしれない。
殴らなきゃならない事もあるかもしれない。
そんな極限状態の話は、当然自分も陥った事がないんで
あくまでも推測の上で、なんだけれど。

人が苦しむのは楽しいものなんだろうか？

そういえば、拷問の執行人は、
世の中の全ての職種の職業の中で最も
自分の職務に忠実で、かつ念入りに工夫を重ねる、
というような内容の文章を目にした事があったっけ。
中世の魔女裁判について授業のレポート書いている時だったかな。

その時も不思議に思ったんだよね。

痛めつけておいて、
殺さないように手当てなんかまでしてあげたり。

そもそも人間の傷なんて、
その時よりも後の方が激しいじゃん？
その時は興奮とかで脳内麻薬が出ている状態で、
あんまり痛いとか感じなかったりするんだけれど、
暫くすると痛みが出てきたりするんだよね。
火傷とかだって、今よりも後の方が遙かに酷くなる。
腫れだって、２４時間とか経過しないと酷くならない。

だから、その時を見て「まだいける」とか思っても、
その後容態が急変する事は十分に有り得ることだし。

いやいや。
「まだいける」と感じるのもどうよ。

怖がっている人間に、寸止めで怖がらせるのはアリかもしれない。
でも、それ以上は、あたしは出来ないな。
うん。無理だ。
第一、血なんて出た日にはびっくりしちゃう☆！
こっちがまっさおになっちゃうよ。

でも、寸止めで怖がらせるなってばれちゃったら、
恐怖がなくなっちゃって拷問にならないから、
したら、秘密事項とか教えて貰えないからなあ。
しかも、寸止めだって最初から分かっていたら、
或意味遊園地のアトラクションみたいなもので、
「ぎりぎりの恐怖を楽しむ」みたいなコトになってしまっても困る。
しかも、うっかりして切っちゃったり火傷させちゃったりしたら、
寸止めにならないからこれもまずい。

うーん。
でも、現実は想像よりもきっと過酷なんだろうな。
あたしの想像の翼なんかじゃ、
精々こんなトコしか思いつかないし。
いわば、想像の範囲外のコトなんだろうなあ。

でも、人間って、どこまで残酷になれるんだろうね。
人が苦しんでいる姿をみて、いたたまれなくならないんだろうか。
あたしだったら、絶望して、
見たくないモノは見ないように目でも潰してしまうかもしれない。
或いは痛いの嫌だから、
さっさと首でもつって死んじゃってるかもしれない。

血みどろになって生きるだけの気概がないんだな。
あたしには。
多分、人間として欠陥を持って生まれてきたのかもしれない。