あなたにはわかるでしょうか。

あの冷たいオーディションルームの逼迫感で、
受ける強いストレスを。
自分が雇う側だからと、
平気で何時間も待たせるクライアントにいらつきながら、
ひたすら気持ちを押し殺して耐える憂鬱を。

たくさんの女の子達の、際限のないおしゃべり。
見てきたような風をして、
聞きかじりの中途半端なオーディション情報を、
甲高い声で得意げに話す子。
「何人採用なの？」「どんな子がイメージなの？」
そんなたわいもないおしゃべりと、
みんなの気持ちの高揚感が、
黙っていても私の神経に影響を及ぼしてくる。

もう何年も、
呆れるほど繰り返してきたオーディションだけれど、
そんな私の気持ちとはうらはらに、
雰囲気に飲み込まれそうになる。

もともとあたしはシャイなたちで、
人前に出ると、緊張で足の震えが止まらなかった。
今も又、みんなの不安が私を包み込み、
吐き戻したいような緊張感が襲ってくる。

こんな気持ちでオデ受けたって、
絶対に審査員に笑えないよ。
っていうか、むしろ睨み付けてしまいそう。
イケナイイケナイ。

会場の空気を変えるほどのオーラを発して、
私の魅力を伝えるコトなんて出来ないよ。
私の絶妙なトークで、審査員を魅了したり、
素晴らしいウォーキングっぷりを見せつけることも無理。

そんな時に、私はこの文章を書いています。
大好きな音楽を聴きながら。

私は貴方にメッセージを送ります。
すると、不思議と私の心の中は、
優しい気持ちが次々と湧いてくるのです。
良いコンディションで、にこやかに微笑むコトが出来るのです。

貴方は私の癒し。
私の天使。