退屈

死ぬ程忙しいというけれど、
本当に「あたし、過労死しちゃうんじゃないの？」なんて日々。
睡眠時間すらどうやってとっていいのかわからなくなるような時。
ものすごく自分が空っぽになっている。

なんのアイディアも湧いてこない。
刺激に対して鈍感になる。
たまっているメモランダムのことを思い出しながら、
なんとかしてネタ探しをしようとするんだけれど、
「っていうか、今日何があったっけ？」というぐらい記憶が飛んでいる。

そう、まるであたしは働くマシーンになっているみたいだ。
一週間忙しければ一週間ずっと空白の頭。
十日忙しければ十日間の空白。
そうして気づけば一年が過ぎている。
２００３年なんかは、あたしの中からは失われた一年だ。

こうして、少し休暇を取ってみると、
失われたモノが徐々に戻ってくる。

私の頭は思考を開始する。
そして、今までの「取り返し不可能」な位のメモランダムも、
あっという間に埋まっていく。
枯渇していて、十日に一本もかけなかった文章が、
大量の時間が流れこんでくると同時にあふれだしてくる。

「人の頭に休息は必要」っていうのは分かっているんだけれど、
一番分からないのは本人。
何よりも時間のロスを恐れている。
進むべきコトが進まない恐怖。
私なら生かせる一時間を飛ばしてしまう恐怖。

でも一番大切なのは、退屈なの。
ああ、退屈だな、何しようかな。
そこから人の考えが広がっていくのだから。

もしもあたしが、高い塔にでも閉じこめられたとしたら、
本と紙とペンさえあれば、きっと退屈はしないだろう。
美しい詩を、素晴らしい文章を、深く考えた思考を、
きっと残すことが出来るのだから。

退屈と孤独は、暗い友達だけれど、
きっとあたしたちのかけがえない友達。

（28th Dec. 2005)