世界を想う。
世界のそこここに飢えている人がいる。
今、この時に、武器を手に取り戦っている人たちがいる。
災害のニュース、戦争のニュース、テロのニュース、痛ましい事件・・・。
そういう人たちのことを考えると胸が痛い。

こんな平和な日本に生まれ、
幸いなことに、平穏無事な日常生活を普通に送ることが出来、
ベッドの上で死ぬことがほぼ保証されている私たち。
普段は空気のように甘受している幸せに目をむけて、
満足し、感謝の心を神に祈る。
また、持たざる人々の運命を悲しみ、
なんとかしてあげられないのかと思考する。

たいへんに素晴らしいことです。

・・・でも！
それよりもっと重要なコトを忘れていませんか？
それより先にやらなきゃならないことがあるんじゃないの？！

あたしは、身近な人たちに誠意を持って接しているのかな？
「忙しい」そんな一言にかまけて放置していませんか？

確かに、彼らは、食べ物には足りているだろう。
又、手足を地雷で失うこともない。
血を流して平和や平等を勝ち取る戦士ではない。
災害に苦しんで住む家もなくしているわけではない。
エイズで息も絶え絶えになっていない。
肌の色も黒くないし、栄養失調で目ばかりぎょろりとでかいわけではない。
そういうドラマティックな要素は何一つないよ。
寧ろ、なんら私と変わらない「幸せそう」な人たちだよ。
いいや。もしかしたら、私より寧ろ幸せな人たちにも見える。

・・・ホントに？
ホントに彼らは満ち足りて、幸せなの？

私は、彼らに対して、誠実かしら？
私は、彼らに何もしてあげられることがないのかしら？

もしも故意に、或いは無意識に人を傷つけまくっているというのならば、
遠くの顔も知らぬ人を思う以上に、
身内をなんとかすることからはじめるべきだと思う。
自分を慕ってくれている近くの友人、親兄弟、そして先輩後輩、諸先生、恋人、
大切なものがここにあるのに、遠くばかり見ているのは、偽善？
それとも責任逃れ？

確かに、大義名分を抱え、
世界人類の平和を説くのは壮大で輝かしいよね。
そして、立ち上がるコトをしない人たちに比べたら、
立ち上がろうと決意しただけでも十分に尊敬に値することだよね。
まして、何かを実際に実行に移すことは、本当に素晴らしいコトだと思うよ。
その心の美しさに、神が祝福を与えてくれますように。

とはいえ、
どうもイマイチ釈然としないのは、
マクロの目ばかりでミクロをみれない人たちが多く存在するから？
「世界の平和のために」家庭を壊すような人を知っているから？
「災害救助のために」という大義名分が絶対正義だと思っている人を知っているから？
「人を救う」という大義名分と、英雄的な行為に対して、
特殊なアドレナリンが出ている人が多いような気がするの。
あたしみたいなあたまが固い人は、
「人助けってもっとナチュラルに出来ないものなの？」って疑問に思っちゃう。

なんぴとも、自分の周りを幸せに出来なくて、
世界を救えるワケがない。
そう、理香は思ってしまうのです。
つまり、やりたいなら、まず自分の周囲を幸福にしろ、と。
結局は、それが「地球の平和」「人類の幸せ」に繋がっていくんじゃないの？
５０億の地球を変えるのは難しいけれど、
１００人ばかりの自分の周囲なら幸せにするならもう少し容易でしょ？

当然理香もチャリティーはよくやっています。
でもね、
「チャリティーやっていてえらいね」って思われたくないよ。
なんかそう思われた時点で、偽善っぽくなりそうで。
勿論、理香の名前のチャリティーオークションなんかは仕方がないけれど、
人助けなんて、こっそり、ひっそりやってこそ美談だと思うんだよね。

衣食足りて礼節を知る。
でも、その衣食が足りない人たちもいる。
分かってるよ。
そして、その人達にとっては、食べ物を貰えることは、
神さまが現れたぐらいありがたいことだろうな。
でもね、衣食を与えた、というコトで終わってはならないと思う。
あたしが、「苦手だあ」って思うことの一つには、
「食べ物あげた、感謝された」というコトで、
自分が神になったかのような自己満足を得て喜んでいる人。
ボランティアの気持ちって、そんな自己満足の世界なのかな。

人に尽くしたいなら、介護ケアの方達の方がよっぽど偉いと思う。
ハードな仕事内容なのに、それを自分のお仕事にするんだから、
無条件に尊敬してしまう。
こういう人たちを見ていると、
日本のヘルプの仕方って、お金やモノが殆どだから、
なんか嘘くささとか甘さ、或いは神になった自己満足目的を感じてしまう。

人を助けるでしょ？
でも、人はその時感謝したかも知れないけれど、
時と共に忘れるし、平気で裏切ったりすることもある。
理香もこの世界で何度も体験したよ。
同じチームでレースクイーンとして立たせてあげた女の子が、
今はまるで親の敵みたいに理香の悪口言っていたり、
マネージャーさんを無視していたり。
でもね、そこで腹を立てるなら人に親切にしちゃいけないの。

人に親切にしても、報われないモノだと期待しないこと。
それこそがホントのボランタリーの心だと思っている。
だから、中途半端に「いいことした」って思いこんでいる人が
ちょっと腹立たしくもあり。

世界を思う。
地球の裏側で、飢えている人たちに涙する。
それも大事。
でも何よりも一番大事なのは、
自分の身近にいる人たちを助けること。

理香に例えるのならば、
道が分からなくて、どうしていいか泣きたくて、
困っている女の子達を助けること。

多くの顔が見えない貧しい人を救うよりも、
今自分の周りにいる人たちを大事にすること。
自分がもっているものを本当に必要な子達に与えること。
救うこと。

これが一番大事なんじゃないのかしら。

大義名分のために動くよりも、名もない善意を大事にしたい。