弱いところは見せない。
見せたくない。
それがあたしの人とのつきあい方なんだと思う。

かわいくないのはよく分かってるよ。
別にあなたが嫌いな訳じゃない。
距離を置いているわけじゃない。

考えてみたら、あたしの距離のとりかたって微妙。

仲のいい人になればなるほど距離を置くような気がする。
遠くから見ていて欲しい気がする。

人にはおのおの背負ってきた文化がある。
国も違えば、マナーも違う。
自分の思う所も違う。
関係が近くなればなるほどすりあわせが必要になってくるし、
フラストレーションは否が応でも溜まる。
相手の年齢性別全て関わらずにね。
親兄弟は流石に十年以上の慣れもあるけど、
それでもなお喧嘩するでしょ？

だとすると、関係を築くのは、
なるべく余裕のある時にしたいと思う。
自分のキャパがあるときならば、
多少の意見の相違による傷にはへこたれないでいられるから。
逆に、余裕の無いときに距離を縮められると、
「感じよく振る舞わないと」という強迫観念が、
圧倒的なフラストレーションになって襲ってくる。

体調が悪くていっぱいいっぱい、
或いは、圏外に長くいたりとか仕事中とか出張帰りとかで、
暫く携帯も使えず連絡出来なかったけれど、
今すぐに連絡しなきゃならない大量の締め切りが迫ってきてパンクしそう。
（っていうか、そもそも３時にメルしてきて締め切り５時とかやめてよね。）
そんな時。

自分のことだけでも持てあましているのに、
これ以上他人に遠慮なんてしてられないよ、と思う反面、
いやいや、修行だ、と思ってみたり。

本来、ひとりぼっちでこうやってパソコンやってるのが好きな、
どっちかというと社会不適応なヲタクですもの。
アメリカから日本へ、日本から又アメリカへと移住を繰り返し、
引っ越しを転々とした挙げ句に学んだ真理。
「人間ってわからない」
そうして、きっと、自分の独自の人間観が生まれてきたんだと思う。

もともとべったりは嫌い。
トイレに一緒に行ったりっていうのも苦手。
なんで日本人の女の子って一人で行動出来ないんだろうと思っていた。
友達、はいいけれど、
始終一緒にいたりってたいへんじゃない？
自分一人で考えたいことってあるんじゃない？

その代わり人といるときにメールしたりとかっていうのもイヤ。
よくいるじゃん。
女の子が二人で、二人とも携帯メルしていたりとか。
ああいう光景は苦手。
一緒にいるなら一緒にいる人と一緒の時間を楽しもうよ。

メリハリもつけたい。
お仕事はお仕事としてきっちりこなしたいし、
やらなきゃならないことは優先したい。
友達と遊んだり話したりもいいけれど、
その前に仕事を片づけてからね。

いつもにっこりと微笑みたい。
その根本には「嫌われたくない」という気持ちがあるんだと思う。
だから、余裕の無いときには放っておいて欲しい。

あなたが嫌いな訳じゃない。
寧ろ好かれたいと思うよ。

だけどね、
やっぱりあたしも人間だから
あなたが近くにいると、調子悪くてもいいふりしたいし、
テンション高く保ちたい。
もともとテンションが高い人間じゃないっていうのは、
これだけ近くにいるんだもん、わかるでしょ？
いわばイベントの時に「ハレの自分」として、ハイテンションしてる訳。
盛り上げるためにふっきってる訳。

声を出しちゃダメと医者に言われていても、
あなたがいれば絶対話しかけてくるし、
こっちも話してしまう。

移動一緒に行動してくれるのは、ある意味ありがたいけれど、
例えば調子が悪かったら電車の中で寝たいときもある。
次の現場があるときには、
ホントはいけないことだけれどちょろっと化粧直しもしたい。
仕事中に連絡くれた友達に連絡したい。
別にたいした内容でなくても、第三者に聞かれたくない話題もある。
というか、仕事先にしなきゃならない電話もある。
当然、緊急のものも相当あるし、緊急でなくても急いだ方がいい。
お仕事だからね。急ぐべきだよ。

あたしだけじゃなくて多分みんな思うことなんじゃないのかな。
例えば、休憩時間には、裏に入って、靴を脱いで、だらーっとしたいとか。
誰かと話をするのは楽しいことだけれど、
でも、なんでこの１０分しか休憩のない「今」なのさ？！みたいな。

横のつながりを大事にしたい理香としては、
仲間が一杯いる現場では、同じ女の子仲間との会話も大事にしたい。

心配してくれるのは嬉しいよ。
これは嘘じゃない。
でもね。

あそうだ。こういう例えなら分かってくれるかな？
あのさ、こないだうちのマネージャーが現場のお食事中に気持ち悪くなったの。
んで、リーダーの理香が呼ばれて、表に出たの。
「あたし、気持ち悪いから部屋に帰るけれど、
お仕事の話をしなきゃならなくて帰ったことにしておいて」
なんていう指示を貰っている間に、
「ごめん！ちょっと待ってて！」といって、
彼女は、女子トイレに駆け込んでしまった。
そして、いつまでたっても出てこない。
・・・困った。

でもあたしは行かなかった。
もしもあたしが吐いていたら、絶対人に来て欲しくないから。
出てくるのをひたすら待っていたよ。
外から「大丈夫？」なんて声もかけなかった。
吐いているだけで一杯一杯なんだから、
答えたくもないだろうし。
そこで気を遣わせたくないんだよ。
あたしの行為が親切心から出たものであっても、
相当迷惑になってしまう。

そりゃあ、あたしがお医者様で、
その時何か適切な処置がとれる状態というか医療機器とか薬があって、
彼女の苦痛が和らぐなら側にいるかもしれない。
でも、あたしは見てるだけの傍観者にしかなれない。
彼女のことは心配だけれど、
自分だったら、見られているのはイヤ。
トイレ入ってる所を覗かれるのと同じぐらいイヤ。
心配は嬉しい。
けど、ちょっとありがた迷惑かもしれない。
だから待っていた。

構って欲しくない時、
構わない事が親切だって時もある。

距離感、って難しい。
ホントに難しい。
ヤマアラシのジレンマっていうけれど、
人によっても感覚まちまちだろうし。

それに、こんな本音言ったら嫌われるかなと思うと言えない。
それもフラストレーション。
だから書いちゃった。
分かってくれる事を信じて。