「公開オーディション」って聞いた途端、
「書類下げてください」っていうのが口癖になった。

みんながイメージする「オーディション」っていうのは、
大抵「公開オーディション」だと思うんだけれど、
本当は、公開オデなんてオーディションの中のごくごく一部。
３６５日の日常生活の中の１日のお祭りぐらいに少ないイベント。
普通のオーディションは普通の会社の会議室のようなところでやります。

公開オーディションってやっぱり派手なんで、
主催者さんはやりたがるよね。
「みんなで選びました」っていう雰囲気がいいのかなあ。
最近は不況の所為か、お金がかからないように
「ネット投票」なんかにしているところもあるみたいなんだけれど。

でも、受ける方としてはたまったもんじゃないです。

公開オーディションをやりたがる人たちって、
もし自分たちが同じ立場に置かれたらどうするんだろうね。
「人前で恥かかせるな」ぐらい言って怒り出すんじゃないの？
自分で出来ない事を人にやらせようっていうんだからたちが悪い。
それとも、なんだろ、あたしたちは特別だとでも？

かわいそうじゃない。
合格するために一生懸命足が震えながら自己ＰＲとかしちゃって、
特技とか披露して。
そんなのが多くの人の目の前でさらしものになってるなんて。
たくさんの物見遊山の一般の人たちが遊興半分で写真を撮ったりビデオ撮ったり。
それに雑誌社の人たちがどの子が落ちるか分からないから
結果的に落ちた人たちまで全員写真撮ってたりして、
後からその子が有名になったときに写真が流出したりして。

オーディションを派手にするために
人数あわせのためだけに呼ばれた子とかもたくさんいて。
本来なら書類で落ちている子なんだけれどね。
あれも随分酷い話。

まあ、見ている方は優越感なんだろうな。
どの子を選ぼうか、いや、選んであげようか。

新人募集ならいいんだろうな。
理香も全く名前の売れていないときには、気にしなかったし、
むしろそういう華々しいオーディションも何度も受けたし、
そういうところで合格するのは、本当に鼻が高い。

でも、ちょっとでも名前が出始めると、リスクはとれない。
だって、理香を「企業の顔」として使ってくれている多くの企業さんたちの
イメージを落とす事になってしまうんだもん。
それに落ちた場合ファンの子達に与える動揺もあるしね。
１％でも可能性があることだったら慎んだ方がいい。

オーディションなんて、大きくても小さくても、
所詮、その時の審査員の好み。
それなのに、さも、ある絶対基準であるかのように評価される。
それが大きなオデであればあるほど、落ちたときのダメージが大きくなる。

なんとなく日本では、「公開オーディション」と「ミスコン」とを
ごっちゃにされているんような気がしてくる。
こういう私的なものは、本来密室でやるモノだと思うよ。