四月の愚者というけれど、
一体何が愚かなんだろうか。

「今日はエイプリルフールだから嘘をつこう」と
わくわくしている友達を見て、なんか少し虚しくなった。

セクシーにと望まれればセクシーに。
かわいらしくと言われれば、かわいらしく。
知的にと言われたら持てる知性を総動員して。
攻撃的にと言われたら、女王様か女戦士のように。
恥も捨て、心も無視し、一生懸命演じているあたし。
イメージを、嘘と虚飾で塗り込めて。

「ＯＫ！」の一言で、一つの役から解放されるけれど、
一枚の服を脱ぎ捨てると、その中には再び演じるべきキャラがいる。
「藤咲理香」がいる。
まるでタマネギみたいに、いくら剥いても真実が出てこない。

それは、押しつけられたキャラかもしれない。
強いられたキャラかもしれない。
でも、周囲の期待を察知して、
あたしが勝手に演じてるのかもしれない。
或いは、職業上の便宜上から
自分が無意識のうちに選んだものかもしれない。

ホントのあたしを知ってる人なんているのかなぁ・・・。

いやいや、案外人っていうのはよく見ていたりするもので、
例えばこうやってネットで見ていてくれるだけのような人が、
理香の真実の片鱗を確実に見ていたりするのかもしれないな。

でも、そんなの、あたし、知らないもん。

「エイプリル・フールだから嘘をつこう」
いいな。なんか純粋な生き方していてさ。
いいな。そんな余裕があって。

あ、そっか。

じゃ、理香はエイプリル・フールの今日は、
いっそ、素直に生きてみようかな。

表に見せるほど大人でもなく、
考え深くも賢くもなく、物わかりもよくない自分。
いっそすっぴんで表を歩いてみようかな。