よく「理香は優しいね」と言われる。

でも、自分ではすごく意外な感じがする。

理香は、別に人に優しくしようなんて思ってない。
ただ、「感じ良くはしたいな」と思っている。
周囲の人たちに仏頂面むけまくっていたってしょうがないじゃん。
関係ない人たちに当たり散らしたって迷惑だし。
だから、人には、特に通りすがりの人には、
丁寧に接しているかもしれない。
そんな些細なことで、なんとなくみんながハッピーになって、
自分もハッピーになればいいけどね。

それと、心許した人たちには徹底的に優しいかも。
というか、我慢してしまう。
結果として、我慢が限界に来て、
怒っちゃうこともあるけれど、
基本的には友人に対して「温厚」だと思っている。

だから、友達を選ぶのは大事かもしれない。

人によっては、自分の常識が通じないこともある。
理香が、自分の分を我慢してでも、
友達に親切にしてあげたりしているのに、
あろうことか、理香を食い物にしようとする人すらいる。
残念ながら、理香はかなり人の感情に敏感なので、
そういうことがあると、途端にひいてしまう。
そして心に深い傷を負ってしまう。

でも、そんな時ですら悩む。

にこにこと騙されてあげていた方がいいのだろうか、と。

或いは、私が気づいてしまったということに気づいたら、
相手が気恥ずかしい思いをしないかどうか、と。
だとしたら気づかないふりをしておいてあげた方がいいんじゃないかと。
菩薩の気持ちで、マリア様の気持ちで、
縁なき衆生に、もしも一抹の良心や心の仮借が芽生えて、
天国の門が開かれるんだとしたら、騙されてあげようか、と。
ただ、食い物にはされないようにするけれど。

理香を評価して「まっすぐ」だといった人がいた。
まっすぐっていうのは、あんまりいいことじゃないよね。
そもそも自然界には直線なんてないんだから、
曲線の中で直線で異様とするのはムリがあるでしょ？

でも、人に対して騙してやろうとか、
意地悪をしてやろうとか、食い物にしてやろうとか、
そんなことは考えたこともないし、
なるべくみんな良い風になって欲しいとは思ってる。

だから、多分、生かされているんだと思う。
だから、多分、周りが付いてきてくれるんだと思う。
だから、分かる人たちが理香を大事にしてくれるんだと思う。

あたしは、本当に幸せだ。
優しい人たちに守られている。
掌中の玉のように、大事に大事に守られている。

逆を言えば、だからまっすぐに育ったのかもしれない。
曲がることを知らずに育てよ、と、
みんなが私をはぐくんでくれているの。
私は、きっと、
みんなの「良心」と「夢」から生まれ落ちた子供。

ホントの優しさは優しさの連鎖を産むのかもしれない。

私が優しくまっすぐであれば、
それを評価してくれる人たちが益々集まってきてくれる。
そして、ますます手厚く保護されて育てられる。
周囲も、優しさをふんだんに与えてくれる。
優しさの純粋培養。
優しさの源になる。

だからきっと、敵に対してまでも
深い悲しみと共に、
暖かいまなざしを捨てることが出来ないのかもしれないね。
ほんとうに、あたしってば、ねえ。