言葉

人と会うと最近ぐったり疲れる。
でも、中から新しい言葉が、あふれてきてとまらない。

それはまるで、輸血を受ける患者みたいだ。
新しい血が何リットルも体の中に注ぎ込まれて、
その片方でどんどん失血して血が流れ出していく。
オペが長ければ長いほど、新しい血は増え、私は変わっていく。
だけど、ぐったりと疲れて倒れ込みたくなる。

昔は、人と会うとパワーがとめどなく注入された。
自分自身があったまれるぐらいの温度を放出する太陽だった。
今も人からパワーを受けているよ。
でも、自分の元気を分けてあげるのに、消費されるのに、
ちょっと疲れてしまったのかもしれないね。

ああ、だるいなあ・・・。

注ぎ込まれた思念と、それによって自分の中に沸いてきた思念。
これらがゆっくりとブレンドされて、まろやかに熟成されるまでに、
また数日の時が必要なんだろうな。
ワインみたいに何年もかからなくてホントに良かったよ、
そんなことしてたら、あたし、おばあちゃんになっちゃうもんね。

一体いくつの夜と言葉を重ね、一生懸命にトライして、
いくつの語り尽くせぬ思いを心の中にしこりとして残すのだろう。
いつか完璧な言葉の使い手となって、
この猛々しいライオンを、子猫のように足下にひれ伏させることはできるのだろうか。
また、語り尽くした思いは、宇宙の虚無に解き放たれるのだろうか。
それとも、こうしてキーボードに刻まれて、
０と１のマトリックスに、世の終わりまで立ち続けるのだろうか。

（02nd May. 2004)