ここへ来て初めて、
「本当の暇」っていうのを理解したような気がする。

携帯電話もない。
というか、海外だから使えない。
だからメールも出来ない。
一応日本からパソコンは持ってきてはみたものの、
無線ＬＡＮに対応させてないのでホテルに置きっぱなしだし
ホテルにいる時間が少ないから全くあけてもいない。
ひとたびホテルを出てしまったら、
現地の友達との連絡手段すらない！

昔の人って一体どうしていたんだろう。

マネージャーと二人でいるときならば
まだ話することも出来るんだろうけれど、
一人きりの時には限りなく暇だ。

人間独房に入ったりすると、
ものすごく暇を潰すのに苦労するらしい。
以前スピード違反で刑務所に入った友達に話を聞いて、
ぞっとした記憶が蘇ってくる。

犯罪を犯すのは「退屈」なんじゃないか。
そんな自説まで浮かんでくる。

宇宙飛行士の孤独を考える。
或いは、真っ暗に塗り込めた塔に幽閉されてしまった
中世のマダム・バートリーを。
彼らは一体何を考えて時を使ったんだろう。
気持ちを思いやるだけでも気が狂いそうになる。

人生は、何かを成すには短いけれど、
何もしてはならないとなるとあまりにも長い。
舌をかみ切って死んでしまった方がまし。

あたしは時間に、
ううん、だだ漏れの時間に、
暇に、
心から恐怖を感じる。

でも、これはきっと克服しなきゃならないコト。
だって、こんなところでへばるわけにもいかないし。
残念ながら恐怖で負けて気が狂って、
訳がわかんなくなってくれる程脳の回線が弱い人間じゃないし。
だったら自分でなんとかしなきゃ。

そうだ、私は日本人だ。
私には「ZEN」がある！

深い深い思索の海に沈むのも又善い哉。