揺籃

もしも、
鎧でガチガチに身を固めることが出来るのならば、
それは幸せなことだと思う。

世界という大きなコスモスも、
自分自身の中にあるミクロコスモスも、
結局は同じモノを鏡で映したものだとしたら、
或いは縮尺率の違う同じモノだとしたならば、
ベクトルが何処を向いていたとしても同じコトじゃないの？

自分自身のインナースペース。
固い殻と羊水に守られた卵黄の見る夢は、
きっと果てしない星雲のきらめく大宇宙。
そこにはなんの不足もないし、
なんの悲しみもない。
自分自身という絶対的な王の治める国。

閉じこもれるモノならば、
閉じこもってしまいたい。
一番手っ取り早くて、一番確実な手段。

でも人は、殻を破る。
内側から。
自分の拳で。

それはね、
人は一人じゃいられないからなんだよ。

人はきっと、孤独に耐えきれなくて、
安全な母の体内から生まれ出ずる。
子供のキングダムから、無限大のユニバースへ。

無菌室のベッドから、戦場へ。
瞑想の寺から、かしましい街中へ。
宇宙船のコックピットから、広大無辺な砂漠へ。

誰かと繋がっていたい欲求。
それが、あふれ出す瞬間。
人はきっと無限に優しくなれる。