フライトでマレーシアに着いた初日。
いやあ、トラブル続きでしたわ☆。

「とりあえず空港に着いたら携帯に電話して。
俺たちは８時頃まではサーキットにいるから。
サーキットと空港は近いから合流してからホテルいきましょう。」
というＲ＆Ｄのチームマネージャーさんの言葉を胸に、
意気揚々とマレーシアの国に到着した理香たち。
さて、電話しなきゃと思って・・・困った。

んげ。電話がない。

っていうか、公衆電話ってどこさ。
全然見つからないんですモノ。
そうやって探している理香たちの前に立ちあらわれた親切そうな現地の人。
「電話どこですか？」と聞くと、ずんずん先に立って案内してくれる。
・・・ってか、遠くないっすか？？
こんなに電話まで歩くの？
と思ったら、なんかツーリストインフォメーションデスク？に
連れて行かれてしまった。

俺がかけてやるから番号をよこせという。
そこで、書いてある紙を見せると、
「こんなナンバーはない！」と言われてしまった。
とにもかくにも説得して、かけてもらうと繋がらないらしい。
しかも「ホテルは決まってるのか？」とかやたらしつこい。
やばい。
もしかして「ポン引き」（？）というモノに捕まったのか？！

一旦親切にされてしまうと、断りづらいのが人情ってもんでしょ？
ったく。参ったなあ・・・。
でも、こんなことやっているとどっかに連れて行かれちゃう！
「いやいや、関係者に連絡してサーキットに向かうんだ」と説明しても、
「サーキットはもう閉まってる。入れない。」の一点張り。
まじで？！

っていうかさ、「サーキットに８時までいます」って言われたけれど、
フライトが到着するのが夕方６時半。
マレーシアの空港は広くって、入国手続きとかして入るまでに
既に結構時間をくってしまっている。
しかも、こちらの人、時間にパンクチュアルなのかなんなのかしらないけれど、
自分の営業時間が来るとどんなにお客がいてもぱしっとやめてしまう。
日本みたいにぎりぎり受け付けてくれたりっていうのがないんだよね。
これはその後マレーシアのハイウエイのおじさまでもそうだったし、
今回の入国のスタンプ押す係官もそうだったのです。
だから、並んでいた人たちは他の列に並び直し。
相当非効率な世界です☆。
まあ幸い理香の列は大丈夫だったんだけれどさ。
余談ながら、後日のハイウエイの場合は、
料金所で待っていた車がまたバックして他の列に並び直していて、
ホント見ていて「・・・まじ？！」って思ったよ。

まあ話が長くなったけれど、
そうこうしているうちにリミットの８時は刻々と迫ってきています。
いくら空港とサーキットが近いとはいえ、
あと１０分とか１５分で合流できるのでしょうか？
とりあえず念のため一本は電話入れておきたいところ。
っていうか、このままサーキットに向かっても良いんだけれど、
入れるのかしら？そもそも。
何か特別なものとか必要じゃないのかしら？
そういうのも確認しなきゃいけないし・・・。
ああ、もうっ！

というわけで、「親切な人々」を無理矢理ふりきって、
公衆電話を自力で探すことにしました。
で、歩き回っている打ちになんとか見つかったんだけれど、
・・・コインがないっ！
リンギット札はさっき両替して持って居るんだけれど、
公衆電話でかけられるコインなんてないです。
あ、テレフォンカードでもいいのか。

というわけで、またトランクを引きずりながら、
テレフォンカードを売っている売店を探し回る。
漸く発見して親切そうな女の子にいろいろ聞いてみると、
「テレフォンカードはここの国際空港からしか使えません」とのこと。
たった一回のコールのために買うのもばからしいなあと思い、
お札をコインに換えて貰うことにしました。

そして、また公衆電話までたどり着きました。
ふう。やれやれ。やっとだよ。

ところが・・・！！

一体どうしたはずみか、入れたコインが落ちてきてしまうのです。
受話器をあげてから入れても、入れる前にいれても、
何をどうトライしても「かける」状態に繋がらないのです。

・・・もう泣きそう。

そこでまた、そこらへんにいた現地のおにーさんに声をかけてみる。
今度はよくよく見て、ツーリストチックな人を選ぶことに。
またホテルだのインフォメーションセンターだの言われると、
ホント時間の無駄だからさ。
っていうか、はっきりいって焦ってるの。あたし。

おにいさんは、コインをなんどか電話にとおしてみて、
通らないと思ったら次の電話、次の電話と入れていきます。
どうやらマレーシアの公衆電話はハイテク日本と違って、
かかるのとかからないのが混在しているようです。

更に、端から全部ためしてみて全部コインが落ちてダメだったら、
等価値の自分のコインと交換してくれました。
又はじっこからトライです。

・・・どうやらコインも信用ならないらしい・・・。
多分重さとかがバラバラなんだろうな。
だから、コインもコインによって
識別されるものとされないものがあるんだろう。
ふー。外国だね。
しかも、アメリカ育ち。親ドイツという理香が、
かつて体験したことのないハードな「外国」になりそうだよ。

そしてなんとかかかる機種を発見。
お礼を言って電話をかける理香たち。

ところが・・・。
どうしてもかからないのです。
「この電話番号はありません」女声のアナウンスが流れてくる。

・・・まじかよ。

後から聞いた情報から判断するに、
どうやら一旦日本に国際電話をかける形にしなきゃだめだったみたい。
ありゃ。でもどうやって？？？
だとしたらやはりトレカの方が良かったんだろうけれど、
まあどっちにしろかけ方わかんなかったから、コインで正解だったかも。

途方に暮れた理香さん達は、額を寄せ合って相談します。
「うーん。どうする？ホテル入る？」
「でもさあ、サーキットで待っていたら悪いジャン？」
「でもさあ、もう８時過ぎてるよ。
行ってみて誰もいませんでしたってなったら、どうするの？
サーキットからだったらタクシーは捕まえられないよ。」
「行くだけ行ってみる？」
「待っててくれればいいんだけれどね。
向こうも『連絡ない！』って心配しているかもしれないし。」

そんなわけで、サーキットに向かうことにしました。

８時とはいえ、うだるような熱気の中、
長い長いタクシー乗り場の列の端っこに加わります。
そして、漸く自分たちの番がきたというその時！
タクシーチケットを持ってないということで断られてしまったのです。

あわてて買いに走るキャシー。
とりあえず待っている理香。

そして待つこと１５分。
漸くキャシーがゲットしてきました。
どうやらまた「サーキットに行っても。」って言われていたみたい。
よけいなお世話だい☆。

イスラム系のおにーさんのタクシーに乗り込むと、
一躍サーキットへ！！

でも、「空港とサーキットなんて隣」とかいう噂流しているヤツ、誰だっ。
かなーり遠かったぞ☆。
大体車で２，３０分は見ておいた方が良いと思います。
タクシーって遅いし。

おまけに。最初グランドスタンド側に入ってしまって、
訳わかんなくてぐるぐる探し回ってしまいました。
挙げ句の果てに、「ガソリンがなくなった」といって、
一旦サーキットを出てガソリンスタンドへ。

ここがまた混んで居るんだ。
しかもみんなゆうゆうと行動してる。
っつーか、ちゃっちゃっと急ごうよ☆。

漸くうちらの車の番が来る。
ガソリン車じゃなくてこれはガス車なのかな。
前のボンネットを開けて、太いパイプを中に突っ込む。
ガスが注入されると車中がヘンな振動と音に満たされます。
入れるのは前からだけれどたまるのは後のガスボンベ？なのかしら。
がたがたがた・・・・しゅーというような不気味な大騒音に、
中に乗っている私たちはかなり怖い思いをしました。

さしものキャシーも「これ、爆発しないよね？」と不安げな顔。
「いや〜、多分彼の商売道具を爆発させはしないでしょう。
こっち、車高そうジャン。
扱いは慣れていると思うよ、彼もプロだし。
それに、ほら、彼の荷物も置きっぱなしになってるし、大丈夫」
訳のわかんない根拠を持ち出して安心感を装う理香。
キャシー、許して。ホントはあたしも怖かった☆。

でも、なんかあったときには速攻飛び出そうと思って、
実はしっかり扉に手をかけていたのだよ。
っていうか、エンジンかけっぱなしでガス入れるな〜！
引火したらどうするんだ〜！！
まあその時には「ガス爆発」状態だから、
扉から出るような時間もなく爆死だろうけれどさ・・・。

そうこうするうちに、８時半過ぎて、
チームのみなさんがサーキットにいらっしゃるかどうかの可能性は
どんどん低くなっていく。
は〜。ここまででこんなに苦労したんだから、
頼むからここらへんで解放されたい。
チームの人たちに保護されたい。
助けて〜。帰らないで〜。

漸くガスも入れ終わり、再びサーキットへ！！

途中すれ違うサーキットから出てくる車をいちいち目をこらしてチェック！
よもやまさか理香の見慣れたチームの方々が乗ってないか。
乗っていたら速攻その車をカーチェイスしてもらうつもりで、
目を皿のようにしてみていました。
しかも、間の悪いことに、日本だったらチームの方々は
チームのステッカーが貼った車に乗っていたりして判別つきやすいのですが、
ここじゃあみんなレンタカーで似たり寄ったり。
ちょーわからない。
既に外は暗く、車内もあんまり見えないのですが、
ここで逃したら路頭に迷ってしまう！

入り口に到着。
ＧＴパスの提出を求められます。
あ、なんだ。普通のＧＴの年間パスでいいのか。
っていうか、トランクの中だよ・・・。
ってことで、またしても車を降りてトランクひっかきまわしてパスゲット。
ホントになにやかにや調子が狂うよ。
まあでも今回に関してはあたしが悪いな。
考えてみれば入場でパスが必要なのは至極当然だもの。

今度こそ、ピットレーンの並んでいるらしき所に到着。
しかしピットの方までは入れない作りになっているのね。

とりあえず駐車場で、運転手さんにタクシー代以外に
タクシー代の３分の１ぐらいにあたるかなり大目のチップを握らせて
待機していて貰う。
キャシーには車待機してもらって、理香の荷物を見ていて貰う。
身軽になった理香は走ってピット内を探す。
理香はチームの人々の顔がよくわかるからね！

日本人のファンらしき女の子達を発見。
レイブリッグ？の旗を持っています。
「レイジュンってどこか知ってますか？」と日本語で聞くと、
果たせるかな、日本語でかえってきました。
「あっちです。」

やった！
お礼もそこそこにレイジュンピットに駆けつけると・・・。

ああ、そこには神々しいぐらいに輝くビーマックと
チームのみなさんが待っていてくれたのです。
いや、待っていてくれたというのは大げさ。
夜遅くなのにこつこつと作業をしていらっしゃいました。
おまけにＯＳＡＭＵさんの姿もあって、
嘘でもなんでもなく、ホントに神さまに見えました。

速攻戻ってタクシーを返し、
キャシーと一緒に大喜びでチームに合流したのでした。

めでたしめでたし。