お茶を点（た）ててみることにした。
といっても、茶釜もないし、水盆もない。
炉だって切ってないし、そもそもうちには和室もない。
いや、和室はあったんだけれど、絨毯敷いてシャンデリアかけて、
窓にデコラティブなカーテンをかけたら素敵な洋室になってしまったのだ。

今までお茶点てようという時には、
恥ずかしながら、かなりな省略形で済ましていた。
茶筅でしゃしゃしゃっと点てる程度しかしてなかったのだけれど、
なんか久し振りにやりたくなったぞ。
っていうか、覚えているかしら？

お棗もないから、お抹茶の入っている缶をおなつめ代わりにして。
御袱紗は持ってる。
御懐紙はあるけれど、お菓子が買ってない・・・。
お扇子はあるけれど、御座布団がない。
お茶巾は救急箱から出してきたガーゼで代用しようかと思ったけれど
さすがにそこまで「形」でもしょうがないのでやめました。
畳のへりの代わりにフローリングの木の板の継ぎ目を代用？
あ〜、もう、ないないづくしでやんなっちゃうよ！

お道具が全部そろっていても、
ホントにお釜使ってやっていたのは精々高校生ぐらいまでだし、
ちゃんとフルに覚えているか自信ないのに。
これじゃ全然まったくダメだよ。

あったまきたから全部買いそろえちゃおうかな！

いやいや、早まってはいけない。
そんなコトしたら、うちの狭い一人暮らしのスペースが
ますます狭くなってしまう。
後先も考えずにつっぱしるのは理香の悪い癖。

とりあえず出来る範囲で・・・。

まあ、大いに忘れているモノが多くてとまどいつつも、
一人だけのお茶会ごっこ、
それなりに心が落ち着いたりもして。

立ち上がった時、飾ってあったチェシャネコと目があった。
に〜っと笑う猫の顔を、理香もに〜っと見返したら、
なんだか妙に元気が出てきた。

・・・がんばるぞっ。