寂しさに凍えそうな夜でも、
幸せは理香の心が決める。
理香に一つだけ伝えたいことがあるよ。
いつまでもそばにいるよ。

そう歌ってくれたメグの言葉に、
武装した心の鱗がぽろぽろと剥がれていくような
不思議な安堵感を覚えて、不覚にも泣いてしまった。

人前で涙をこぼしたのは、いつぶりなんだろう・・・。

そんだけぼろぼろ泣いたなら、
あとはもう上っていくだけだよ。
笑いながらメグが言う。

うん。
涙はきっと、理香のまなざしを美しくする。
そして、悲しみはきっと、理香の心を深くする。
痛みを知らない人は、
人に優しくできないから。

無印良品で買った、観葉植物用の水を抱えながら歩く。
理香の口元に知らず知らずほほえみがこぼれる。

「嫌な天気だね。べたべたする。」
そう言ったメグに、
「でも理香の心はからっとしてるよ。」
笑いながらそう返した。

・・・ありがとう。

ずっと続いていた頭痛は
不思議なことに跡形もなく消え去った。
・・・あとは幸せになるだけなんだね。

そう。
幸せはあたしの心が決める！

掴めそうで掴めなくて、
するりと逃げていく幸せの蝶々をおっかけて、
走り出す準備が出来たってこと。

世界を滅ぼすノアの洪水よりも
深い絶望にぶくぶくと沈んでいったあたしは、
ハトがオリーブの枝をくわえて戻ってきても、
カニみたいにおそるおそる目だけだして、
岩の間に深く潜り込んでいたよね。

涙でしめった心じゃ、火はつかないよ。
でっかい恐竜がやってきて、強力な火炎放射で
吹っ飛ばしてくれるのを待っていてもしょうがないジャン？
熱い太陽のようなメグの歌で、
真夏のお洗濯モノみたいにぱりっと乾いたネ☆！

神さまは、きっとあたしを愛してくれている。
そんな気がする。
あたしには、大好きな友達がいる。
それはとてもプレシャスなギフト。