日頃の心がけが大切だね

理香はいつも人に対して丁寧であろうと心がけています。

レストランでは店員さんに対等に声をかけさせて頂きます。
高級レストランになればなる程、
「客だ」と威張るお客さまが多いのでしょうか。
理香が丁寧にお話しをすると、とても心が通う気がします。

建物とか、トイレなんかで遭遇する
お掃除のおばちゃんの側を通り過ぎるときには、
必ず「お疲れ様です」と言います。
「ご苦労様です」というのが威張っているような気がするので
「お疲れ様です」と言っているのですが、
最近「ご苦労様です」の方が丁寧だと言われたので、
今は適当にどっちかを言うことにしています。

ご老人には特に丁寧です。
まだまだ元気な壮年程度の方だと
ちょっと言いたいこと言ってしまうことがある理香でも、
さすがにご老人を前にすると、尊敬の気持ちが湧いてきます。
歩き方のペースも合わせます。
弱いものに合わせるのは当然の勤めだからです。

今日は、オーディションがありました。
オーディションといっても、
マネージャーの知り合いの雑誌社に顔見せという形だったので、
そこまで形式ばったものではありませんが。

入り口でマネージャーがドアを開けてくれました。
でも、理香はどうもそういうの苦手なんです。

プライベートの男と女だとしたら、
レイディーズ・ファーストとしてドアを開けて頂けるのは
ある意味当然な事ですが・・・。
（だって女性は弱者でしょ？）

タレントがマネージャーより偉いとも思いませんし。
お互いがお互いを助け合って成り立っているんだから、
マネージャーに威張るタレントなんてあっちゃいけないんです。
ドアなんかも、現場はいる時とか、誰かがみてる時にだったら、
是非、理香のために開けて欲しいですね。
一応カッコつけなきゃならない商売なんで、
マネージャーがさっとあけて理香が出てきた方が、
なんとなく見た目かっこいいし、カリスマ的じゃない？！
でも、誰もみてないときにそんなことしなくていいんです。

っていうか、なんか心苦しいというか、
ちょっとこそばゆいような恥ずかしいような気持ちになるのです。
慣れてないんですわー☆。

そんなこんなでドアの前でマネージャーと譲り合っていると、
後から二人組のサラリーマンぽいひとがやってきました。
そして理香たちが譲り合っているので、
ちょっと入りづらそうでしたので、
「どうぞ」とその方達に道を先に譲ったのでした。

エレベーターに乗ると、
先のお二人組も同じ階で降りられるようです。
「同じ階ですね」とおじさまから声をかけられたので、
「あ、そうですね」とにこやかに感じよくお返事を返しました。
知らない方でも、声をかけられたらにこやかにお返事。
不作法なナンパとかキャッチはダメですが、
丁寧に声をかけられたのでしたら、丁寧に返すのが、
人としては当然でしょう？

エレベーターを降りると、
そこにはワンフロアに一つの会社しか入っておらず、
お一人の方はさっさと会社に入ってしまわれました。
おっとっと。
知らなかったけれど、オーディション受ける会社に
勤めている方だったんですね。

その時、もうお一人の方がうちらの方を振り返りながら、
「今入っていった方は我が社の社長です」
とおっしゃいました。

えーーーーーっ！まじで？！

なんと！
どうやら、今の方は、名古屋本社から、
今日たまたま東京支社にいらっしゃった社長だったのです。

オーディションの形式は
東京支社長とのマンツーマン面接だったのですが、
本社社長まで気楽にぶらっと顔出してくださって、
その場で一気に即決！

理香がオーディション行く前には、
どんなに早くても、本社に女の子の資料を送って
合格かどうか打診しなきゃならないから、
最速でも３日は結果でるのにかかるよ。と言われていました。

それにしてもすごい偶然。

あたしは、今まで人に対して
なるべく親切であろうと思っていたけれど、
それによって得した事なんて一度もない。

だってあたしが対人関係に気を遣っても、
相手は社会的弱者だったり、通りすがりだったりするわけで、
はっきりいって見返りなんか期待しようもない話。
寧ろ自分の自己満足の世界で完結していたんだけれど。

すごいな。
やっぱり神さまはみてらっしゃるんだな。